2014年2月19日水曜日

病気のことは患者さんが教えてくれる

病気のことは教科書、論文、偉い先生から教えてもらうことはもちろんたくさんあります。その中にはこれまでの歴史的な知識の蓄積があります。医者としてすごく助かります。でもそれ以上に病気のこと、症状のことを教えてくれるのは患者さんなのだと考えています。

うつ症状を持った会社員の患者さんに出会いました。朝に会社に行かないといけないのに起きれない、動く気がしない、いつまでもごろごろしたい、好きなテレビを見る気がしない、お腹がすかない。この時、ああこういうのをうつ症状というのだと思ったことを覚えています。

摂食障害のお子さんに出会いました。もう自分でもやめたいのに拒食や運動をやめられない。誰がどう見てもやせが激しいのに「私はお姉ちゃんよりも太い」と涙を流しながら話す。

強迫性障害の手洗いの激しさ、統合失調症の被害妄想、パニック障害の電車の中での辛さ、躁状態の多弁さ、アスペルガーやADHDの人の会社での辛さ、リストカットや大量服薬をするときの気持ち、親に包丁をむけられたときの気持ち、覚せい剤をやめられない辛さ、抗うつ薬の効果を感じる瞬間。みなさん、僕に自分の症状を伝えようと必死に、そして赤裸々に話してくれます。誤解を恐れず言えば、この瞬間が僕にとっての最高の勉強。まるで知識のシャワーです。このときにその人の状態を徹底的に頭に入れて、治療の方法を考えたり、同様の症状を持った人が来られたら、頭の中で以前に診た患者さんの症状や話されていた悩みを引っ張り出してくる。こんな目に見えない頭の中での蓄積を重ねていくことが医者の技術や技量を高めるものだと信じています。もちろん、これはどの仕事でも同じでしょう。

患者さんは最高の師匠。

変な話かもしれませんが、これからも患者さんにたくさんのことを教えてもらうつもりで診療を続けていきたいです。

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