2015年4月17日金曜日

相談者の気持ちになりすぎない

精神科医や心理士でなくとも、人からの相談を受けることがあると思います。僕が一番よく見聞きするのは、ある人があまりにしんどそうにしていたり、かわいそうに見えるために、友人や周囲の人が全身全霊で支えようとして、「いつでも連絡してね」と言っておきながら、自傷行為や自殺の話が出てくると、途中で投げ出してしまったり、連絡を拒否したり、支えようとした人自身がうつになってしまうパターンです。これって一番してはいけないことだと考えています。

先日の新聞に公益社団常人「日本駆け込み寺」の玄秀盛さんの話がありました。新宿歌舞伎町にある駆け込み寺といういろんな問題を抱えた人の相談を受けるところを運営されています。その玄さんのインタビューにこんなくだりがありました。

「自分自身に経験があるからといって、相談者と同化しすぎてはだめ。同じように辛い経験をしてきたうちのスタッフで1日数件の相談を受けると、重たいといって落ち込む人がいる。それは相談者と同じ気持ちになろうとしすぎるから。一緒に泥沼にはまってしまう。常に一歩引いて、その人にとり何が一番良いことかを考える。時には突き放すことも必要。そのバランスが大事です」

これは人の相談を受ける仕事をしている人だけでなく、人の相談を受ける可能性のあるすべての人に言えることだと思います。あと、心理士になりたいという人の中に自分も同じような辛い思いをしたから心理士になりたいという方によくお会いします。これはもちろん素晴らしい心意気ですが、自分が辛い経験したから、その辛い経験をしている人の気持ちがわかるというのは違います。相談を受けるときに一番大切なのは「自分はその人の悩みについては知らないのだ」という前提で話を聞くこと。本当につらいことはその当事者でない限りはわかりません。

精神科医の間では「家族や知人の治療はできない」と言われます。距離が近ければ近いほど客観的な判断が困難になるからです。人から相談を受けて、これは尋常ではないなと思った時には、完全な他人である専門家にお願いすることをお勧めします。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。