2017年8月26日土曜日

心理士の育成をそばで見ながら

醫院で大学院生の実習を受け入れてから、心理士の先生方の育成に関わり、彼らの姿をそばで見させてもらうことが多くなりました。その中で精神科医の育成について思うことがありました(もちろん、ここで述べることは僕個人の経験や感じたことなので、いろんな育成の仕方があることを前提に読んでみてください)。

精神科医という仕事は人との会話を通して行うことが多いため、ライセンスと会話さえできれば誰でも出来てしまいます。僕自身、小児科から精神科に転科した時に、先輩の診察を何回か見ただけで「さあ、まずは患者さんを診察してみて」みたいに、いきなりのぶっつけ本番でした。精神科以外の科の場合、そんなわけにはいきません。お腹の手術を数回見て、指導医もついていないのに、いきなり手術をすることはないはずです。僕が小児科の研修医だった時も、そばには部長先生がついてくれて、あれこれ指示しながら教えてくれたことを思い出します。

医者というライセンス、医学知識だけで、あとは日常的に自分が友達の話を聴くときと何も変わらない会話術。到底、患者さんに提供できる精神療法、お客さんに食べてもらえる料理ではありません。これが精神科医になったばかりの時の僕の姿です。完全に我流の精神療法を行い、患者さんへの返答に困ると、ごまかすことを繰り返し、そのごまかす技術ばかりが高まって、僕自身、すごく嫌でした。

一方で、心理士は患者さん一人に出会うまでに先輩の横について陪席を長期間重ね、ようやく初めての患者さんを担当し、さらにその1例のケースについて先生から指導を受けるという形式をとることが多い。そうすると、準備期間を十分置き、一人の判断ではなく先生の指導を受けた上で一人一人の患者さんに関わるので、勉強にもなりますし、患者さんにとっても大きなミスが減り、全体に丁寧になっているように僕は感じています(そうでない心理士もいるかもしれませんが)。

精神科医の育成を僕はたくさんはしたことがありませんが、これから精神科医になろうと思っている人たちに、決して当時の僕のようにはなってほしくありません。心理士の育成を通して、多くのことを感じ、勉強させてもらっています。

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