2024年6月28日金曜日

人に助けてもらう経験が人を助ける経験につながる


 日本で一番大きな精神科の学会が札幌であり、この学会では14年ぶりに発表をした。学会発表には大きく2つあり、一つは口頭発表、もう一つはポスター発表である。

 今回ポスター発表をすることになり、背の低い僕が横幅90㎝、縦幅150㎝のポスターを椅子に上って一人で貼っていた時のことだった。見知らぬ男性が来られて「一人で大変ではないですか?お手伝いしますよ」と声を掛けてくださった。思わず「こんな優しい方がおられるんですね」と口走ってしまった。僕がポスターを持ち、その方が画鋲をご自分の掌に載せて横に立ってくださった。ポスターの前で写真まで撮ってくださった。名札を見るとその方はある製薬会社の社員さんだった。でもそこには何の打算もなく、ただ人を助けるという姿勢が感じられた。

 お礼を言って別れたあと、会場を歩いているとさっきまでの僕と同じように一人でポスターを貼っている方を見かけ、僕はすぐに駆け寄りお手伝いすることにした。

 もしあの方にお会いしなかったら、すぐに駆け寄ったりしただろうか。僕の人格レベルでは疑わしい。人に助けていただいたおかげで、僕もほかの人を助けたいと素直に思えた経験であった。

2024年6月21日金曜日

言葉が思考を作る

 ある人が言っていた言葉である。それまで僕は思考が言葉を作ると考えていた。でもその逆もありなのだ。普段からポジティブな言葉、きれいな言葉を使う人がいる。その人たちは確かにポジティブであり、心がきれいなことが多い。逆はもちろんしかりである。つまり言葉と思考は相互作用として互いに影響を与える。そうすると思考から自分をよくすることもできるが、言葉から自分をよくしていくこともできる。自分を振り返って戒めたいと思った。

2024年6月14日金曜日

間違えたっていいじゃない、機械じゃないんだから

ピアニストのフジコ・ヘミングの言葉である。先日の新聞でこれを知った。

ご本人は本番で間違えるとかわいそうに見えるくらい落ち込んでいたそうである。それでも自分を奮い立たせるため、あるいは周りを奮い立たせるためにこんな言葉を発してくれたのかもしれない。子どものころに父が故郷のスウェーデンに帰ってしまったこと、聴力を失ったこと、ヨーロッパでピアノ教師として活動をつづけ、母の他界を機に帰国し、67歳でNHKのドキュメンタリーに取り上げられてからはじめて世に出たピアニストとして以前テレビて見たことがある。その不屈の精神にとても勇気づけられた。その方の言葉だからこそ、とても説得力があるのだと思う。

2024年6月7日金曜日

子どもにしてあげることはこの上ない幸せ

子どもたちが小さいときは、とにかく世話をすることに必死だった。あとは自分が楽しみたい。そんなことを思っていた。でも子供たちが成人し巣立っていくと、子どもとの時間に終わりが見えてきたみたいに感じて、世話を焼きたくなる。頼まれてもいないのに。子どもたちに何かをしてあげているときにこそ、この上ない幸せを感じると言ってもいい。そんなことに気付くのに20年以上かかった。ようやく自分も親になったのかと思う。