僕はタクシーに乗るとどういうわけか運転手さんに話しかけられ、いや正確には独演会をされることが多い。
先日も札幌でタクシーに乗って行き先を告げると「北海道の方ではないんですね、どちらの方ですか?」と話しかけられ、大阪ですと答えると「関西弁っぽくないですね」から始まり、大阪城に行ってみたいという話、枚方にアイヌ民族の首長のお墓がある話、果ては日本の歴史、今の政治にまで話が及んだところで目的地に到着。この日は約20分間の独演会となった。その間、僕がしたことと言えば「そうだったんですね」「お詳しいんですね」の二言を繰り返すのみ。
いつも家内から「お願いだからタクシーでは黙ってて」と注意されるのだが、話しかけてこられるのに黙っているわけにもいかない。疲れないかと言われれば嘘になるが、機嫌よく話をしてくださると降りるときの気分もいい。
もちろんタクシーの運転手さんは一人の時間が長いということもあるのだろう。それにしても仕事以外で初対面の人からこんなにも長く話をされる場面は僕の生活にはない。同じような経験をされている方は多いのではないだろうか。