先日のアナザーストーリーは天才バカボンの作者、赤塚不二夫さんでした。天才バカボンの名セリフはいくつもありますが、その中でも有名なのが「これでいいのだ!」。番組の中でナレーターの方がこんなことを言っていました。
「これでいいのだ!」はどんな現実も受け入れてしまう魔法の言葉
先日のアナザーストーリーは天才バカボンの作者、赤塚不二夫さんでした。天才バカボンの名セリフはいくつもありますが、その中でも有名なのが「これでいいのだ!」。番組の中でナレーターの方がこんなことを言っていました。
「これでいいのだ!」はどんな現実も受け入れてしまう魔法の言葉
あんなに目標にしていたのに、死ぬほど望んでいたことなにの、それを成し遂げたあとはなぜか満たされない。そんな経験をしたことありませんか?成し遂げたらどんなに幸せなんだろうと幾度となく夢想を繰り返してきたのに。時間が経つと、その過程は言葉にできないくらい辛かったはずなのに後から思えばなぜか懐かしく、愛おしい。成し遂げた瞬間よりもそれに至る過程のほうが人生全体で見ると大切だったと感じる。人は成し遂げたことそのものよりも、そのために努力した時間のほうが長い分、その過程をより愛するのかもしれません。
馬鹿にされたくない、スゴいと思われたい。肩に力が入るような考えは時に必要で、それが人を成長させる側面は確かにあります。でもそんなことはずっとできない。馬鹿にされても、スゴいと思われなくてもええやん、それで。そんなことより心に余裕があるほうがいい。幸せは人に認められることじゃなくて、自分の心が充満していることだから。
今の僕には週1回の楽しみがあります。土曜日の新聞です。今の日経新聞の土曜日には批評家の若松英輔さんの「言葉のちから」という連載があります。恥ずかしい話ですが、土曜日の朝に新聞を一面からめくっていくときにちょっとワクワクしている自分がいます。その中で若松さんは言葉というものの深遠さをあらゆる角度から語ってくれて、ふっと力が抜けたり、はっとする視点を与えてくれます。先日はこんな言葉がありました。
状況を変えるのは、いつ訪れるか分からない幸運であるよりも、たった一つの言葉である
心が辛いとき、状況が変われば楽になることはあります。でも本当に辛いときは状況が変わるのなんて待っていられません。もっと言うならば、状況が変わっても必ずしも心が楽になるわけではないことを経験上みんな知っています。一方で、たった一つの言葉に救われることがあるのも経験上みんな知っています。
僕も言葉を扱う仕事をしており、患者さんと言葉を交わすことで患者さんに楽になってもらうのが精神科医の本懐だと思っています。ご存じの通り、言葉は諸刃の剣です。人を傷つけることも癒すこともあります。言葉に治療的に働いてもらうために「言葉のちから」をもっと信じたいと思いました。