2019年3月22日金曜日

精神科医は技術者

僕は勝手に一方的に言っているのですが、僕には3人の師匠がおられます。その中で一人目にお会いできたのが山上敏子先生です。山上先生がよくおっしゃっておられた言葉をいつも思います。

「私たち精神科医は技術者だからね」

僕はそれまで人の気持ちや心ってどうやって治せばいいのかと想像がつきませんでした。なぜなら治したいという気持ちはあっても、自分が治せたと意識できたことが一度もなく、なぜその患者さんがよくなったのかが自分で説明できなかったからです。でもこの言葉を聴いてから、自分なりに勉強を進める中で、人の精神や心を治すなんてのはテーマが大きすぎるけど、技術があれば患者さんに楽になってもらうことはできるんだと少しずつ実感がわくようになりました。人の気持ちが楽になるにはちゃんと理屈があるということを知りました。精神科医は技術者。精神科医に勇気を与えてくれる言葉だと思っています。

2019年3月15日金曜日

知識と技術は違う

知識は頭にはすぐに入るけど、それを使いこなすには時間がかかります。その知識を使いこなすことを人は「技術」と呼ぶのだと思います。その技術を習得するためには、その知識を深めて自分の物にして使いこなすまでの時間と努力が必要になります。安易にすぐできるみたいな表題の本がもてはやされますが、それを手にした時に1回読んで頭に入れるだけで終わると、本当に知識だけになって、時間が経てば後にはほとんど何も残らなくなります。その知識を使いこなせるようになるまでしつこくやり続けるかどうかが大切です。ただ、知識が何も悪いわけではありません。知識を技術まで高めるにはエネルギーがいります。なので、自分がこれだ!とホントに思えたものについてだけは知識で終わらせずに、技術にまで高めていけば、それでいいと思います。

2019年3月8日金曜日

自分がどう感じるのかが大切

人はテレビで語られてること、有名人が語っていること、本やメディアなどの活字になってるものを信じやすい傾向にあります。おそらくそれはテレビに出る人、有名人、活字になるというのは一般の人からすると、信ぴょう性が高く、何か特別ですごいものだという意識があるからではないかと考えます。かくいう僕もそんな情報に揺れます。でも入ってくる情報に翻弄されすぎると付和雷同という形になってしまい、自分を見失って、結局自分がしんどくなってしまいます。なので入ってくる情報を一旦は受け止めた上で、自分はどう感じるのかを見つめてみる。それを大切にすることがいいかなと思います。

2019年3月1日金曜日

患者さんは意図せず治療者に多くのことを教えてくれる

患者さんが治療者にとって師匠であり、治療者は患者さんに感謝するべきであるというのは再三ブログで書いてきました。その中でのもう一つの気づきがありました。それは患者さんはご自身の辛いこと、苦しいことをなんとかしたいという思いでたくさん語ってくれます。それはもちろんご自身の治療のためであり、こちらも治療者としてそれに答える義務があります。ただ、診察の時間は治療者にとっては治療ということ以外の意味があります。それが患者さんの語るときの表情、こちらの言葉への反応、思考のパターン、その人の歴史など、患者さんはご自身は意図せず、これらを治療者に教えてくれます。それらの情報はその人だけでなく、他の人たちの治療を行う際に非常に多くの助けになります。なぜなら人の表情、反応、思考パターン、歴史には様々ありますが、共通している部分も多いからです。それがまた次の患者さんの治療に役立つ。治療者としては貯金をさせてもらっているような感覚です。意図せず患者さんは教えてくれる。本当にありがたい限りです。

2019年2月22日金曜日

ブログを書くのは実は話を聴いてほしいから

このブログは自分はなんで書いているのか。書き始めてからこの5年間ずっと自分に自問してきました。その理由はいくつかある気がします。なんか自分がわかった気がしたとき、この考えは他の人も持ってるんじゃないかと思ったとき、すごくいい話を聴いたとき。いろいろあります。結局これらの総合すると、要するに僕の話を聴いてほしいだけなんじゃないかとふと思いました。正直、こんなことを不特定多数の人にしている自分はバカなんじゃないかと思います(笑)。ただ、これって僕だけじゃなく、人ってみんなそうなんじゃないかな。そんなことを思いながら、今日はブログを書きました。

2019年2月15日金曜日

「縁」って言葉は心を楽にしてくれる

日本語には「縁」という言葉があります。人は生きている中で、思いもしない出会いや別れがあり、それらは人の力でどうすることもできず、予測することができません。思いがけず素晴らしい出会いをしたり、思いがけず悲しい別れになったり。そんなときにその人との出会いを喜んだり、悲しんだりします。そんなとき人はその理由を説明したくなったり、意味付けしたくなります。その理由や意味が思いつかないとき、「縁」という言葉を当てはめると、なにか心がすっとします。僕は日本語以外の言語は韓国語しか知りませんが、韓国語にも同様の言葉があります。他の言語でもあったらいいなと思います。なぜかというと、人の心を楽にしてくれる言葉だとから。

2019年2月8日金曜日

さだまさしさんのコンサート

先日、大好きなさだまさしさんのコンサートに行ってきました。僕は10年くらい前に「
風に立つライオン」をたまたま知ってから、大ファンになりました。医師として患者さんに向き合う崇高な姿勢、「僕は思い上がりたくないのです」という歌詞など身に迫ってくるものあります。他にも「主人公」、「いのちの理由」、「コスモス」、「親父の一番長い一日」、「ハッピーバースデー」など、さださんは生きること、家族のことについての歌がとても多いです。しかし1曲を聴くと、目を閉じているだけで1本の映画を見たのと同じ感覚を覚えさせてくれます。

実際のコンサートは僕の親くらいの世代の方がほとんどで、ちょっと浮く感じは否めませんが、大好きな人なので我慢しました(笑)。非常に多忙なはずにも関わらず、丁寧に3時間近くかけて、歌、トークをしてくれました。音楽はご専門なので素晴らしいのは当然ですが、トークがこれまた落語家か思うくらい情景の描写がうまいんです。絶対これは話し方をしっかり勉強されてるなと思います。人前で話すのが好きな僕としてはこれがまた魅力的で、いつかこんな風に人に笑ってもらいながら、時にふっと涙が上がってきそうなお話ができれば、聴いていただける人も僕も幸せな気持ちになれるんじゃないかと思うのです。

コンサートが素晴らしかったなんて言いながら、こんなことを言うのもおかしいですが、僕の中で一番印象に残っているのはテレビで見たさだまさしさんです。さだまさしさんが東日本大震災のあとに初めて東北を訪問されたとき、お寺で歌を歌いました。その時にさださんは被災された方々を前にとても戸惑いながら「こんな時のために僕は神様に有名にしてもらったので」と言いながら、ハッピーバースデーという曲を歌ったんです。僕はこの言葉に感動しました。多くの人は自分の努力で有名になったみたいに思うので、こんな言葉って普通は出てこないと思うんです。しかもこんな非常事態の後に、被災された人たちを前になんて言葉を紡いでいいのかわらなくなる場面なはずです。そんなときにふっとこんな言葉が出てくるなんて、普通の人ではないなと感じました。

今日はとりとめもなく思いつくままに書きました。さだまさしさんの曲に救われている方はとても多いと思います。もしまだ聴かれていない方にはぜひともおすすめしたいです!

2019年2月1日金曜日

自分が最高のパフォーマンスを出せる分だけ仕事をする

レストランには大人数が入ることのできるお店、少人数しか入れないお店があります。それぞれの目的や用途などあるため、規模の大小で優劣はつけられません。ただ、僕個人としては小さなレストランが好きです。なぜなら小さなレストランの方が仕事が丁寧なことが多く、お店の人の気配りやお店の人との距離が近くに感じられて、お客として気持ちがいいからです(お店のご主人やスタッフの方もそうじゃないかと想像します)。そんな考えから、当院ではお受けする患者さんの数は僕らスタッフが最高のパフォーマンスを出せると思う患者さんの数だけにしています。そのための完全予約制でもあります。これは決して驕りなどではなく、お受けする患者さんの数を増やしても誰もいいことがないからです。ある一定の人数を超えると、患者さんにいい治療やサービスが提供できないため、患者さんも僕たちも不満が生まれます。当然ながら医療機関である僕たちは患者さんに楽になってもらうことが目的です。そのためにこれからも小さな規模で僕らスタッフが最高のパフォーマンスを出せる範囲の中で仕事をして、きちんと患者さんに楽になってもらえる診療とサービスを続けていきたいと思います。

2019年1月25日金曜日

1つのことを深めれば多くのことが学べる

サッカー選手の人たちが「サッカーが人生に必要な多くのことを教えてくれました」というのをよく聞きます。これはほかのスポーツ選手たちも自分のスポーツに当てはめて同じようなことを言っています。見聞を広めるべきだとか、幅広い経験が大切だとか、人はいろんなことを知っていたり、いろんなことができる人を良しとする傾向があります。でもそんなことはないと思います。今自分がしている一つのことを本当に深めていけば、そこから人生に必要な多くのことを学ぶことができると思います。

2019年1月18日金曜日

他の人を知るより自分を知ること

50km競歩という競技があります。50km競歩はオリンピック競技の中で最も長い距離を競うスポーツです。長い道のりの中で、周囲の選手との駆け引きがあり、そのペースに自分が合わせるのか、合わせないのかの判断を誤ると脱落するという話を聴きました。つまり、大切なのは周囲との駆け引き(他の人を知る)ではなく、自分(スタミナ、特徴)を知り、自分で考えてペースをどうするのかを判断することなのだそうです。

生きていく上で僕たちは自分以外の人から多くを学びます。しかし本当に大切なのはその次の段階なのかもしれません。他の人から学ぶのはあくまで入り口で、その後の自分と向き合う時間のほうがもっと大切ではないかと思います。



2019年1月12日土曜日

自分をコントロールすることが一番簡単であり、一番難しい

テニスの全米オープンの女子で優勝した大坂なおみ選手はこれまでは自分の感情をコントロールできず自滅することがありました。その時、ドイツ人コーチのバインさんは「相手は何もしていないのに、自ら負けていることに気付きなさい」と諭したそうです。僕も診療の中で自分で勝手にしんどくなっていくことがあります。みなさんもないでしょうか?生活の中で相手は何もしていないのに、自分だけが勝手にしんどくなってしまう時。これって結局、相手の問題ではなく、自分の問題なので、逆に言えば自分のやり方、ものの捉え方次第で改善できることではないかと思います。

相手をコントロールすることはできませんが、自分をコントロールすることはできます。ある意味一番簡単なはずです。でも自分をコントロールするときには怠けたい、楽したいなどの「妥協」という誘惑が常に着いてきて、その「妥協」という敵に打ち勝つ必要があります。これもまた結局自分次第ということになってきます。でもそれは非常に難しいことですよね。人にはこの葛藤が常にある気がします。これらのことを総合すると、自分をコントロールすることが一番簡単であり、一番難しいということになるのでしょう。これもまた葛藤ですね(笑)。

2019年1月4日金曜日

誰か一人でも見ていてくれたら人は生きられる

人は自分ではどうしようもないくらい辛いことがあると、希望が持てなくなってしまうことがあると思います。そんなとき誰か一人だけでも、自分のことを見ていてくれたり、わかってくれたらそれだけで人は生きていけます。多くの人に自分を理解してもらう必要はありません。自分のことを少しはわかってもらる場所がある。それだけでいいんだと思います。