2015年5月29日金曜日

発達障害の子のかんしゃくで、最初に確認すること

発達障害の子のかんしゃくをどうしたらいいのか。本当によく聞かれます。そのときに僕が大切にしていることは本人の不快感を取り除くことです。具体的には大きく分けて2つです。

まず1つ目は身体のケアです。自閉症を含めた発達障害の子たちによく見られる身体的な症状があります。消化器症状(下痢、嘔吐、便秘)、アレルギー(アトピー、喘息)、睡眠障害(不眠、浅眠)、感覚過敏、けいれん性疾患(てんかん、よく見ないと発作とわからないものもあります)などです。このときに注意したいのはこれらの症状は一見して軽視されることがあるということです。見た目に少しの便秘、咳、アトピーだと、長期的になると日常的には本人や家族もあまり気が付かないこともあります。さらに、本人がうまく言葉で表現できないというのも重なるのかもしれません。なので、これらの身体症状については必ず確認するようにしています(必要であれば小児科受診も)。僕は身体症状が改善することでかんしゃくやイライラが改善したケースを何度も経験しました。

2つ目は環境、特に本人への刺激を減らすことです。いわゆる五感。つまり音、光、感触、匂い、食事です。大きな音はないか、ゲームのような刺激の強いものに長く触れていないか、本人が触れているソファやベッドはどうか、食事の内容はどうか(食感、食物アレルギーなど)、気温や湿度はどうか、などです。これらを注意深く観察することで、本人の不快感の原因を見つけられることがあります。

これらを観察してから、本人の行動、周囲のかかわりなど、行動分析的な見方を始めます。それでもまだイライラやかんしゃくがある場合にはお薬(抗精神病薬、漢方薬)を出すことにしています。もちろん、薬が劇的に効くことも多いです。

発達障害のお子さんのかんしゃくで困られている場合にはこの2つをぜひ確認してみてあげてください。

2015年5月25日月曜日

リスクを取る人と取らない人

僕は最近、NHKの知恵泉という番組をよく見ます。経営者をゲストに呼んで、歴史上の人物の考え方を紐解いてもらう番組です。すごく勉強になり、興味深い番組です。

先日はUSJのマーケターの森岡毅さんが出ていました。その中で一番印象的だったのは「リスクを取る人と取らない人とでは10年、20年と時間が経つと、実力にものすごい差がつく」というお話でした。つまり、厳しいところに自分の身を置いていくことが実力を伸ばすことにつながるのだと理解しました。今まで自分が思ってきたことと同じことをおっしゃってるなと思うと、やっぱりそうなんだとうれしくなりました。

僕はしんどいこと、きびしいことが嫌いです。でも実力がつくとか成長するとかいう言葉に弱くて、しんどいことにふらふらと足を突っ込んでいくことがあります。実際に足を突っ込んでみると「なんでこんなにしんどいことを選んだんだろ」と後悔することも多くて、途中で投げ出すこともあります。でもそれに耐えていると、今まで見られなかった世界が見えてきて、人や学びに出会い、そこから次の新しい道が開けることがありました。これから10年後、20年後を見据えて、できるだけリスクを取っていきたいです。

2015年5月22日金曜日

診断せずとも治療はできる

医学教育では多くの場合、診断していくというのを最初の目標にしています。それは診断して、それに合わせた治療法というのを決めているからです。いわゆるガイドラインというものです。精神科の教科書も病名、症状、診断基準、鑑別診断、必要な検査、治療法という流れで書かれています。つまり教科書のほとんどのページは診断に割かれており、肝心の治療は少しだけ。診断が重視されているわけです。

でも僕は小児科医時代、そして精神科医になってからも、これに疑問を感じていました。診断はしたはいいけど、治療法はこれだけです、ということになる。この壁にぶつかって心底の違和感を覚えた人がその病気の原因や治療法を探すために研究者になっていくのだろうとも思います。

精神科の中でも診断基準は決まっているのに、治療法が決まっていないものがたくさんあります。発達障害、人格障害、摂食障害、依存症など、どれも治療が難しいと言われるものばかりです。

そう考えると、今の医学では診断名から治療法へという流れだと行き詰まる(器質的疾患などの一部を除いて)。ならば診断名に関わらず、治療できる方法のほうがいいですよね。僕の知る範囲でも、診断名に関わらず治療できる精神療法や心理療法は複数あります。おそらく大切なのは診断よりも、状態の把握です。木を見て森を見ずではありませんが、状態を把握すれば、発達障害や人格障害でも、今の現在の状態よりはよくすることはできます。

医者は患者さんに出会ったとき、この人はどの診断になるのかなという目が働くように教育されています。でもそんなことより、状態を把握して今よりも状態をよくするにはどうしたらいいのかという発想をするほうが患者さんのニーズに応えることになるのではないでしょうか。僕はそんなことを精神療法を学ぶ中で知りました。状態をよくする手段として薬物療法、手術、リハビリ、精神療法、その他の多くの治療法があるのでしょう。このうちどの武器をその医者が持っているのかということです。

きっと患者さんやご家族の多くは診断を望んでいるのではなく「しんどいことをわかってほしい、今よりも楽になりたい、そして治して欲しい」。これではないでしょうか。

2015年5月19日火曜日

子供だからこそ話を聞いてくれる

人は自分の常識や考えを人に伝えたくなる生き物のようです。

他の人を見たとき、「これは違うだろう」と思ったら、自分から見たその人の違うところを一生懸命に指摘して、自分がよかれと思う方向に持って行こうと説得したくなる。その対象が自分の子供であれば、その気持ちはより強くなるでしょう。自分の経験からすると、危なっかしくて見ていられない。それが親の気持ちなのかもしれません。

僕は子供から大人まで、毎日多くの人に出会いますが、僕自身の価値観に照らしてみると、「これは違うかな」と思う方に出会います。でもそれを大人の方に押し付けるというのは違う気がしますし、押し付けたところで当事者であるその方は納得しません。日々の臨床を通して、自分の価値観を押し付けることのちっぽけさを痛感します。僕個人の人生観なんてどうでもいい。

ただ、僕はたまたま子供に接するチャンスがすごく多い。子供たちはどんな環境で育ってきても、大人に比べて、素直で純粋です。つまりこちらが話をしても曲解されることが少ない。すると、僕がその子のためになると思って正論を話すと、翌週にはちゃんと行動を改めてくれる子たちがいます。

「鉄は熱いうちに打て」とはよく言ったものです。

年齢が幼いと、僕たちが伝える大人としての価値観が入りやすい。良し悪しはあるにしても、柔軟であることに変わりはありません。逆に、大切だと思うことを伝えるのが遅くなると、こちらが大切だと思う話は入りにくくなる。

大人になるといろんな技術を使って、話をうまく持っていかないと聞いてもらえないのに、子供だと「今日からは大好きなお母さんの言うことを聞いてね」というだけで、問題行動がなくなることをよく経験します。人としての純粋な部分にいつでも触れられる、児童精神科の醍醐味なのかもしれません。

子どもたちに接する人たちの言葉はそのままその子の心に刻まれる可能性が高い。真っ白なキャンバスである子どものこころにどんな絵を描くのか、それをちゃんと考えて発言しているのか。それが子供に関わる人が考えるべき最も大切なことのように思えます。

成功体験を振り返る

僕は行動療法、システムズアプローチ、ソリューション・フォーカスト・アプローチという3つの治療法を勉強しています。この3つを勉強していてつくづく感じることがありました。

それは僕が治療をしていて、よくなられる患者さんには共通点があり、その理由をこれらの3つの治療法は説明してくれていたんです。

・患者さんの話を上っ面ではなく、具体的に聞いていること
・患者さんが辛いところをしっかりと労えていること
・患者さんとの関係が良好であること
・大きな変化ではなく、小さな変化を狙えていること
・少し距離を置いてみれていること
・患者さんの本当のニーズをしっかり把握できていること
・治療の目標が明確にできて、それを患者さんと共有できていること

こう書くと、一見単純で当たり前に見えることですが、これらを少し理解できたなと今思えます。でも、もっと大切なことはこれらを患者さんを前にして実践できているのかということ。これを僕は今、日々自分自身でトレーニングしています。

さきほどの「一見単純で当たり前に見える」というところですが、物事の本質はいつもシンプルで、一見当たり前に見えるものが多いのではないかと思っています。それらを理解した上で、自分の人生や日常生活の中で実践できてはじめて、その本質がわかったと言えるのでしょうね。

閑話休題。

逆に、振り返ってみると僕が今まで患者さんをよくできなかったのは上のいずれかができていない場合です。

昔、師匠の山上先生に言われたことを思い出します。

「失敗した経験を振り返ることも大事だけど、それよりも自分がうまくいった患者さんのことをよく振り返りなさい」

この言葉がまた今になって、また身にしみています。日本という国に暮らしていると反省することが美徳みたいになります。でもいくら反省してもうまくいかないことがあります。そんなときご自身の成功体験を具に振り返ってみてください。成功したときにただ喜ぶのではなく、次もまた成功するためには、そのときなぜうまくいったのかをよく振り返ることで、次に何をすべきかが見えてくる気がします。それはほかの人から見ると、一見全く違うものに見えるかもしれませんが、成功した理由をしっかりとつかめている本人には同じことなのかもしれません。

2015年5月16日土曜日

第三者だから言える

診察の中で僕がお子さんへの対応の提案をすると、「ああ、なるほど、先生みたいにそう言えたらいいんですね」とよく言われます。

我が子のいいところを見てあげたい、褒めてあげたいのに、子供のことを叱ってしまう。叱ったあとに自己嫌悪に陥る。これでよかったのかな、また叱ってしまった。多くの親御さんが思うことだと思います。

我が子の嫌なところが目について叱ってしまう。これは当たり前だと思うんです。「先生は子供の心理をわかっているから、先生のお子さんにはちゃんと声かけができてるんでしょう」みたいなことを言われます。正直、こどもの心理なんてわかっていません。もっと言えば、僕は神様じゃないんで、人の心理なんてわかりません。僕も自分の子供には小言をいって、「また同じことをしてんのか、何やってんねん!」と叱っています。逆に、愛する我が子にどこまでも冷静な親ってちょっとどうかと思います(笑)。

僕は子供への対応について考えて、それをお話しすることを生業にしているので、自分なりに日々考えて、トレーニングはしています。でもそれは第三者としての僕が診療の中で少し距離を置いたところから見て言えることです。僕の人格とか能力とかそんなものは何の関係もありません。誤解を恐れず言えば、プロだから。それだけです。

なので、我が子を叱ったあとに自分を責めないでほしいです。自分が冷静な判断ができていなかったという認識があるだけすごい内省の能力です。今の自分の対応でいいのかなと思ったときに第三者である医療機関や子供に関わる機関に相談されることで、また少し違った見方を感じてもらえればいいんです。そのために僕たちがいるわけですから。

2015年5月13日水曜日

自分への刺激が少ない時間を持つ

僕は今、週5日間診療しています。僕にとって診療は試合に出るようなイメージです。そこでのパフォーマンスが明日以降の僕の生活、気持ち、大げさに言えば人生に影響すると考えています。

仕事の日は朝から夕方まですごく刺激的です(笑)。頭のモーターをフル回転させて、仕事の直後はモーターの回転数が多いままなので、そのモーターがゆっくりと回転するまでに少し時間がかかります。正直、刺激の量では勤務医をしているときと今とでは比較になりません。頭への刺激があまりに多い。なので僕はアクション映画や見ていてしんどくなるテレビ番組は見ません。普段の実生活で刺激を受けすぎているから、そこまでして刺激を受けたくない(笑)。

しかも、僕は何もせずにぼーっとするのが苦手なので、仕事のあとや休みの日にも本を読む、録画したテレビを見る、運動する、物を考える、人に会う、外出するなどをしてしまいます。そんな自分の性格に嫌気がさす時もあります。僕のようなこんな生き方をしている人も多いのではないでしょうか?

そんなとき、一つのことに気づきました。僕の頭は刺激を受けている時間が長すぎる。なので、刺激の少ない時間を作るべきだと思ったんです。そのために睡眠を多く取る、自然を見る、一人になる、考え事はせずぼーっとする、ゆったりとした音楽を聴くなどの時間を持つ(当院のHPの写真を海にしたのも南の島をみると僕自身の気持ちが楽になるので、HPを見られる方の気持ちが楽になればと思い、海の写真にしてもらいました)。

もし僕みたいな方がおられたら、少しでいいのでぜひ頭への刺激が少ない時間を意識して作ってみてくださいね。

2015年5月11日月曜日

さらに発達を伸ばすために

発達の遅れがあると、発達を伸ばすために療育を受けるというのが通常です。しかし、その療育は施設や機関によって玉石混交というのが僕の印象です。

そこで僕は開業するまでに療育としてしっかりしたものはないのかと探して、見つけたのが現在当院で発達障害の子たちに行っているABA(Applied Behavior Analysis、応用行動分析)でした。ABAは効果がはっきりしており、体系化されているため、親御さんの協力さえ得られれば、効果の差さえあれ、今までできなかった言葉を含めた日常生活で必要な動作を着実にできるようにしてくれます。またABAの考え方は健常の子であっても、育児に悩む親御さんに方向性を示してくれます。

僕はその後も発達障害の子たちが抱える問題、ご家族の悩みをさらに改善できる方法を探していたところRDI(Relationship Development Intervention、対人関係発達指導法)を見つけて、昨日当院の心理士の木村先生と一緒に勉強に行ってきました。

これは自閉症の子たちの本質的な問題である社会性、状況に合わせた対応、人間的な情緒交流をできるようにするための方法です。RDIでは健常の赤ちゃんがどのような段階を経て、成長するのかを細かく分析したものをモデルに、それらがまだできていない自閉症の子供の親御さんに丁寧に指導していくものです。

僕の拙い理解の中で、ごく簡単にそのステップを説明するとすれば、

①まずは親御さんの心をある程度まで健康にし、時間的余裕を保つ
②子供の身体的な健康(睡眠、食事、排泄、免疫機能、アレルギー、てんかん、注意、集中、行動のコントロール)を整える
③子供の生活環境をシンプルにして、本人にとって生活の負担を減らし(ABAなどの療育)、刺激の少ない状況にする
④親御さんと本人との間でガイド関係(愛着、信頼関係)を作る
⑤マニュアルに則って、定型発達の過程のやり直し(育て直し)を行う

となります。

そして何よりもRDIが目指しているのは成人後に就労、社会貢献、友人関係、結婚など健常の人たちがしていることをできるようにすることです。何よりも印象的だったのは「福祉を受ける人ではなく、納税ができる人にする」という言葉でした。つまり自閉症と付き合うのではなく、自閉症を治すという観点に立っているのです。

RDIを正式に行うにはアメリカで研修、課題、試験をクリアしなければならず、さらにご家庭の状況を含めた様々な条件をクリアしなければならないため、実際のRDIは行うことが困難です。しかし、子供の身体的、精神的状態をまずは健康にしていくこと、親子の愛着を大切にすること、健常の子たちが経てきた過程を自閉症の子たちにも徐々に経てもらうというごく自然な考え方はすっと入ってきますし、とても勉強になりました。RDIについてさらに勉強を深めて日々の診療、ABA、カウセリングに生かすつもりです。そして何よりも、まずは親御さんの心の健康が大切であるという僕がこれまで臨床の中でずっと感じてきたことを再確認できたことは大変自信になりました。

2015年5月7日木曜日

人生は運をどれだけ貯められるかの勝負

僕は萩本欽一さんの「ダメなときほど運はたまる」という本に出会ってから、萩本欽一さんが大好きになりました。この本の中には以下のような言葉が並んでいます。

失敗は運の定期預金
仕返しすると運は消えていく
がっつくと運が逃げていく
お金は汗水たらして稼ぐもの
過分なご褒美はもらわない
人との付き合いは損から入る

そして何冊かある同じシリーズの本で、最終的に書いてあったことは、「人生って結局運をどれだけ貯められるかという勝負なんです。だから他の勝負で勝とうなんて思わなくていい」

僕たちが生きている中で、人生訓みたいな言葉を日常的に聞きますが、それを総括してくれているように思います。例えば、上の言葉を今までたくさんの人から聞いてきた解釈に直すと、

失敗は運の定期預金→失敗は成功のもと
仕返しすると運は消えていく→人に仕返しをしないほうがいい
がっつくと運が逃げていく→欲をかきすぎないほうがいい
お金は汗水たらして稼ぐもの→楽をしてお金儲けをしてはいけない
過分なご褒美はもらわない→身の丈以上の報酬はもらわないほうがいい
人との付き合いは損から入る→まずは自分が人に与える

このようになりました。煩悩のかたまりである僕は自分がしている行動とこれらの人生訓が解離しているとき、すごくもやもやしていました。それらを、萩本欽一さんの言葉が生きる上で一つの公式にまとめてくれた気がして、すごく楽になりました。

聖人君主ではないので、きれいな行動だけでは済まないときもありますが、基本的には自分に運がたまる方向に進むにはどう行動すればいいのか。シンプルにこれだけを考えれば、日々の自分の行動が見えてくる気がします。

2015年5月1日金曜日

ホームページをリニューアルしました。

去年8月の開業からまだ2年弱ですが、ホームページをリニューアルしました。

http://child-mental.com/

当院に来てくださる方のほとんどはホームページを見て、来院されます。開業してから改めて、ホームページの大切さを感じています。そこで、それなら来院前から患者さんが癒されるようなホームページがあればいいなと考え、開業前からずっとお世話になっている方にお願いして、全面的に作り直していただきました。シンプルで見た人が癒されるようにという僕の意図したところをしっかり感じ取ってくれて、それを反映させてくださいました。

僕は開業時を除いて、ホームページ以外には一切広告費を使っていません。もちろん、経費節減というのもありますが、僕の理想は「声なくして人を呼ぶ」です(ホームページがあるのでそこまでは行きませんが(笑))。つまり、大声を上げて宣伝しなくても、毎日、目の前の患者さんにしっかりと結果を残せるように診療すれば、自然と患者さんは来てくれると信じているからです。自分の実力以上のことはできるわけはありませんから、自分を大きく見せるつもりもありません。

ホームページには僕が今まで考えてきたことを散りばめてもらいました。当院のホームページを見た時から、その方の癒しになり、治療になればいいな。そんな思いを込めて、ホームページをリニューアルしました。ご覧ください。