2015年7月28日火曜日

ほんの少しのサービスでうれしくなる

先日、メガネの鼻に当たる付け根の部分が取れてしまいました。メガネをかけておられる方はご存じだと思うのですが、この部分がないと金属部分が当たって鼻は痛いし、固定が悪いからメガネがずれるしで不便極まりありません。そこで、メガネを買ったことはありませんが、近所の眼鏡屋さんに持っていきました。


僕:「あのー、ここで買ったメガネではないのですが、この部分が外れてしまって」

店員さん:「部品があるか見てみますよ」

しばらくして・・・

店員さん:「部品が変わってしまいましたが、やってみました」


うれしかったですね。僕はそのお店は初めてですし、店員さんも何気なしに、当たり前の仕事をしたという印象でした。別に次にメガネを買ってもらおうとかそんなものも一切感じさせない対応。

ほんの少しのサービスで人の気持ちってこんなにもよくなれるんだなと改めて感じました。

そして、あとでメガネをみてみると、メガネのねじの部分までしっかり止めてくれて、レンズまできれいにしてくれていたんです。

心があったかくなるこんな仕事がさらりとできたらいいですね。

2015年7月24日金曜日

大雪山の自然


札幌で行われた日本ブリーフサイコセラピー学会に合わせて、大雪山に行ってきました。大雪山は北海道の中央にあり、総面積では日本最大の山脈で、その中に旭岳は北海道最高峰の山です。大雪山はかつてアイヌの人々が「神々が遊ぶ庭」と呼んでいたそうです。まさにその言葉通り、神の存在を感じさせるかのように荘厳な雄大さがそこにはありました。その中で、大雪旭岳源水という、まさに水源を訪ねました。

実は僕がここに行ったのは2回目で、今回も心をきれいにしてもらったというか、その場に立つだけでありがたいなという気持ちになれました。そこに行けばなんでかわからないけど、心がきれいになれる。そんな場所がいくつかあれば生きやすいんじゃないかなと思います。

2015年7月15日水曜日

精神科受診を前にして悩む方々へ

人は本当に辛いことに向き合った時、自分に起こった事実を認めたくない、受け入れられないことがあると思います。我が子が知的障害かもしれない、主人がうつ病かもしれない、母が認知症かもしれない。これらのことを受け入れるだけでも辛いのに、それを家族以外の誰かに語る場所である、治療を受ける場所とされている精神科の門をたたくということはよりその現実に向き合うことになるわけです。それは想像を絶する高い壁です。精神科医である僕は精神科を患者として受診したことはないし、その家族にもなったこともありません。でも自分を卑下しているわけでもありません。ただ一つ言えることは僕は精神科医を生業にしているということ。つまり、精神科の門を一度でも叩いてくれた患者さんが当院に来る前よりも1mmでも楽になること。それが今の僕の目標です。

だから僕は思います。目の前にある辛いことを認めたくはないけど、少しでも楽になりたいな、精神科ってどんなところなんだろうなと思ったその瞬間に、治療への、そして回復への1歩は始まっているのです。少なくともその方が次の2歩目を踏み出そうとするときに邪魔をせず、少しでも楽に前に向かって踏み出せるようお手伝いしていきたいです。

2015年7月12日日曜日

すでに患者さんは治療の術を僕に教えてくれていた

これまでの自分の診療を振り返って、今になってようやく気づくことがたくさんあります。あの時の診療でうまくいかなかったのはあそこをミスしたからだな、こうしていればまた違っていたのかな、今ならこうするかななど。もちろん、今も診療のあとに、あっ、完全にミスした!っと思うこともあります。ミスしたことに気づくのは僕自身か、僕の診察を見てわかる人だけでしょう。おそらく患者さんは僕がミスしたとは認識されず、怒って帰ってしまう、なんとなく後味が悪いなと感じる、そのまま過ぎていけることもあるかもしれません。

ウイリアム・オスラー(William Osler)という19世紀から20世紀初頭に医学の発展に大きく貢献した医学者がいました。この先生は数々の名言が残されています。その中でこんな言葉があります。

 Listen to the patient, he is telling you the diagnosis.

患者の話を聴いてみて、患者はあなたに病名を話しているよ、とでも訳すのでしょうか。

最近、気づいたことがありました。患者さんは診察室の中でご自身の辛いことを話したり、話せなかったりしながら、僕に治療に役立つ多くのサイン(情報)を送ってくれています。それを今までの僕はちゃんとキャッチできていなかった。つまり患者さんの話の中でどれが治療に役立つのかがわかっていないから、治療がうまくいかない。大事なポイントをたくさん見逃していました。恥ずかしながら、今もまだ見逃していると思います。逆に大事なポイントだけを間違わなければ、治療法は見えてくる。患者さんの症状や話している内容を上手に取捨選択できる人が実力のある医者なのでしょう。今の自分が以前の自分の診療を振り返ることで、多くのことが見えてきました。

今、僕が最も強く感じることは、すでに患者さんは治療の術を僕に教えてくれていたということです。これからはそれをできるだけ見逃さないよう、日々の診療に臨んでいきたいと思います。

2015年7月7日火曜日

今の仕事の環境は最高

今の僕は幸運なことに1日で多くの患者さんにお会いできます。もちろん治療はうまくいくこともうまくいかないこともあります。ただ、毎日確実に患者さんの診療ができるということは毎日確実に診療がうまくなるためのトレーニングを積めるということ。うまくなれば、どんどん患者さんに還元していけることにつながる。

僕は診療がうまくなりたくて本を読んだり、講習会などに参加します。でももっと大切なことは日々の臨床の中で学んだことを武器にして、そこからいかに自分が試行錯誤しているかだと思います。本や講習会で学んだことはあくまでも食材です。その食材だけをお客さんにお出しすることは出来ない。お客さんにお出しするには自分の手を加えて料理をする必要がある。そこでどんな手を加えられるかがその人の実力。

そして診療の中で湧いてきた日々の疑問を考え続けること。患者さんに向き合って、どうしたらいいのかと思い悩んでいる時間が一番自分を成長させているのだと実感しています。誤解を恐れずいうなら、今の僕は診療し放題、トレーニングし放題で、もううまくなるしかないだろと自分で思います(笑)。今の仕事の環境は最高です。もしこれで診療がうまくならないなら、それは僕の努力が足りないからでしょう。こんなにも恵まれた仕事の環境を与えてくださる患者さん、当院のスタッフ、当院に関わる方々に心から感謝したいです。なんかホームページに書いてある文章と同じようなことになってしまいました。違う種類のいろんなことを考えてるはずなのに、いつも結論はここに行きついてしまいます。お粗末様でした。

2015年7月3日金曜日

本当の自分はどう思っているのか

MLBのトロント・ブルージェイズの川崎宗則選手の本、「逆境を笑え」を読みました。2012年にそれまでの実績や立場を捨ててメジャーに移籍するときに「誰でもない僕の人生だから」と発言されたことを知ったときから、僕は勝手に大好きになって、テレビやメディアで動向に注目していました。

川崎選手の元気さと辛い気持ちが生で伝わってきて、すごく興奮しながら一気に読めました。素晴らしい言葉が並んでいたのですが、中でも僕の中にすっと入ってきたのはこんな言葉でした。

「歳を重ねて、自分を見つめる時間が増えてくると、本当の自分はどう思っているんだろうと考えるようになる。そういうことを考え始めると、他人のことよりも自分のことが気になるようになってくる。そうなれたらしめたもの。少しだけ楽になれる」

人は他人が期待している答えを言いたくなるものです。こう答えた方が納得してくれるかな、喜んでくれるかなとか。でもそれを言いながら、違和感を覚えている自分。小児科医をしていた30歳まで、そんなことをずっとしていた気がします。そして精神科医になってから、それをやめて自分が本当に思っていることは何なのかに向き合うことにしました。ずっと思ってきたそのことを言葉で表現してくれたのが川崎選手のこの言葉でした。本当の自分はどう思っているのか。何か判断に迷った時は自分に聞く。

でも自分に聞くって実はそんなに簡単なことじゃない。自分に聞くことためにはじっと考えるためのエネルギーがいるし、考えてもすぐには答えが出なくて時間がかかることがある。自分に聞いてるのに、時間がかかるって不思議ですけど、どうもそうみたいです。自分が本当はどう思っているのかを知るためには時間、出会い、タイミングなどいろんなものが必要です。

もしかしたら、自分にちゃんと聞かない人は自分が思うような人生を生きるのは難しいかもしれない。なぜなら自分が本当に望んでいることが不明確なまま時間は過ぎて、前に進むことになるわけですから、自分が想像していたものとは違う人生になっていく。本気で自分に向き合うことって、しんどいことですから。逆に本気で自分と向き合って、自分の本当の思いが明確になれば生きることが楽になるかもしれませんね。

誰でもない僕の人生だから。この言葉に川崎選手の生き方、考え方が集約されている気がしてなりません。