2015年8月31日月曜日

まずはお母さんに元気になってほしい

僕が診療をしていて、一番多くお会いするのは子育て中のお母さんです。年齢的には20代から50代と幅広いですが、その中でも特に30、40代が特に多いように思います。

子供への接し方、育て方はもちろん、お母さん自身のご自身の人生を否定される方にお会いします。結婚前は学校生活や仕事を通して、ご自身の人生について考えてこられたのに、主婦としての生活が長くなり、家事や子育てをしていてやりがいは感じるものの、ふと自分の人生ってなんだろう、なぜ生まれてきたんだろうと思う。お母さんたちがそんなことを考え始めるのは僕の印象では、子供たちが少し手が離れる小学校入学後からが多いように思います。子供の小学校入学以降に仕事やパートを始めたりされることが多いのはそのためでしょう。

お母さんも一つの人格を持った人であり、一人の大切な人生を生きているわけです。女性の社会貢献の高さが昨今叫ばれてますが、子育てをしているお母さんの力がこれからの世界の未来を担っていると言っても過言ではありません。もしかしたら、こどもの健康よりも先に必要なのはお母さんの健康なのかもしれません。当院はそんなお母さんたちのお役に立てるクリニックでありたいと思っています。

2015年8月26日水曜日

ルールやマナーを守っていただきたくて



「車内では携帯電話のご使用はご遠慮ください」
「空いている座席に荷物を置くのはご遠慮ください」
「ここでは飲食はご遠慮ください」
「ここに駐車しないでください」

公共の場やお店に入って、こんな張り紙や放送に出会うことがあると思います。

当院のような小さなクリニックにも、僕の小さな器では受け入れるのが困難な方が時に来られます。たとえば、連絡なしに予約時間から1時間以上遅刻される方、他の方がお待ちなのに診断書などの重要な書類をその場ですぐに書いて欲しいという方、他の方がお待ちなのに先に診て欲しいという方、必要性や理由をご説明しているのに薬を長期間処方して欲しいという方、大騒ぎして走り回っている子供をそのままにしておられる方などです。

そこで当院では大変残念ながら上にあるような張り紙をしています。

多くの人と共生していく社会の中でルールやマナーを守らない方に合わせた張り紙や放送に出会った時、僕は「ここまでしないといけない人がいたのだな」と、その張り紙を作らなければならなかった方の心労を思います。だってこんな張り紙や放送をして気持ちがいい人なんていないでしょう。これは特に自分が開業してから強く思うようになりました。

僕自身がいつもルールやマナーを守る人間であるとは到底思えません。ただ、それらを守れなかったときに、誰かに指摘されたり張り紙を見て、行動を改め、周囲の人への迷惑を想像できる人間でありたいと思っています。なので、まずは僕と当院のスタッフが良識のある真摯な姿勢で患者さんに接し、仕事をし続けることで、いつか当院のこの張り紙を外すことが僕の目標です。

2015年8月22日土曜日

ニーズとタイミングが合っているのかが大切

行動分析(行動療法の基礎的概念)の勉強のために軽井沢に行ってきました。大阪から軽井沢に行くにはどうすれば早いかご存知でしょうか?僕はそれを知らずに名古屋から行けるのだろうと思っていましたが、新大阪→東京は東海道新幹線、東京→軽井沢は長野・北陸新幹線という大回りをすることを初めて知りました。ということで、初めて北陸新幹線に乗りました。8月という夏休みであることもあるとは思いますが、北陸新幹線はほぼ満席でした。その光景を見たとき、北陸新幹線は今年3月に開通したばかりで、ここに乗っている人たちは去年まではどこにいてたのかと思いました。つまり、北陸新幹線にはニーズがあったのか、あるいはニーズを生みだすことができたということになります。

満席の北陸新幹線を見て思いました。顧客のニーズとタイミングに合わせたものを作ることができれば、生き残れる。しかし、そのどちらかを間違えればどこかの第3セクターやレジャースポットのように淘汰されていくことになるわけです。

あくまでも顧客という対象がいる仕事、つまり民間の仕事の場合、ニーズを間違えれば消えるしかありません。そのニーズに答えれられる準備を常にしておくことが生き残っていく道なのだろうと、北陸新幹線に乗って、行動分析の勉強をしながら考えました。軽井沢に行って、行動分析の勉強をしながら、こんなことを考えたのは僕だけじゃないかと、自嘲していました(笑)

2015年8月17日月曜日

善行は轍迹無し(ぜんこうはてつせきなし)

精神科医が治療者として、患者さんと最後の診察をいい形で一緒に迎えることができるときは正直幸せな瞬間です。最後の診察をこちらがいい形だと意識できている時点で、患者さんは最後のあいさつにきてくれていますし、治療も成功しています。

「ここに来て支えていただきました」、「先生の声を聞きに来ていました」。

涙が出ますよね。ただ、これらの場合、僕は何がそんなに良かったのか把握できていません。こんなときに思い出す老子の言葉があります。


善行は轍迹(てつせき)無し


本当の善行は人目にはつかないという意味です。ボランティアに参加したことや寄付したことを自慢する人に会います。でもそのことを人に対して語った時点で、それ自体を善行だと考えている時点で、それは善行ではないのでしょう。知らない間に、意識していない中で人に喜んでいただけるということが人間としての幸せなのかもしれません。それでいくと、僕が上記のようなことをブログで書いている時点で善行ではありません。自分が人としてまだまだなのだと実感するわけです(笑)

2015年8月13日木曜日

仕事はおもしろいけど楽しくはない

元LINE社長の森川亮さんの「シンプルに考える」を読みました。ご自身のビジネスや人生観について書かれた本です。

戦わない
ビジョンはいらない
計画はいらない
情報共有はしない
偉い人はいらない
モチベーションはあげない
成功は捨て続ける
差別化は狙わない

などなど、一見して、え?と思う言葉が並びます。普通の人ならその真逆だろうと思うような言葉です。その言葉一つ一つを解説しながら進んでいきます。ビジネスの本質を書いていると感じました。過去1年間で一番面白かった本です。その中でも特に、読みながら、僕と全く同じだ!と思えたのが、


「仕事を楽しもうという言葉を耳にすることがあります。これには共感できない。仕事はおもしろいけど楽しむという感覚はありません。なぜなら仕事は厳しいものだから」


僕は仕事を楽しんだことはありません。僕にとって仕事は基本的にしんどいものですし、そのしんどさの中で治療がうまくいって、うれしいな、おもしろいなと幸せを感じることはあります。楽しいとおもしろいは違いますよね。楽しむって言葉には何か余裕を感じます。今の僕のレベルでは仕事を楽しむなんて余裕はありません。僕が仕事について楽しいなと思える時は仕事(治療法など)について勉強している時、仕事について誰かとディスカッションしている時など、患者さんを前にしたときではなく、実際の仕事とは離れて、何かを学んでいるときです。つまり、何かを吸収しているという楽しさです。たしかに何かを吸収しているときはむちゃくちゃ楽しい。でもそれは仕事を楽しむこととは違います。

すごく治療ができる先生方は仕事を楽しまれているのだろうと想像はします。最高ですね。そんな日が来るのでしょうか^^。

2015年8月9日日曜日

「~じゃなきゃいけない」はしんどい

広島カープの黒田博樹投手がインタビューでこんなことをおっしゃっておられました。

「メジャーでは常に100%の状態でマウンドにあがれることはないと自分に言い聞かせていました。100%を求めると、もしそうでないときに、技術面もメンタル面もどんどんネガティブになるから」

僕は今まで診察に向かう前には自分のコンディションをベストにしないといけないと思っていましたし、今も正直ベストにしたいと思っています。でもこの言葉で楽になれました。どうせ自分の調子には波があるし、波のない日常なんてありえないですから、できるだけいいコンディションを目指すのはいいけど、そうでないといけないとか考えることはまずいなと気づきました。

これは仕事のときの自分のコンディションだけでなく、すべてに言える気がします。なんせ、「~じゃなきゃいけない」というのはしんどい。一番思うのは自分の「〜じゃなきゃいけない」という常識を人に当てはめて(当てはめなくていいのに)人のことを批判したり攻撃したりするとき。なので、最近は自分の頭で変な人だなと思う人に出会った時も、頭の中で変だなという程度に止めて、それ以上の心の中での評価や攻撃をやめました。なぜならそれはしんどいから。やめたほうが楽だから。それだけです。いくら心の中でその人のことを思いだして、評価して攻撃しても、解決するものではないし、疲れるだけ。そんなことが本気でできるようになると生きることが楽になるものなんだと感じています。

2015年8月6日木曜日

友人のいる国を大切に思う

僕にとって仕事が終わったあとに、疲れた頭を癒してくれるものの一つに歴史があります。なのでNHKの歴史秘話ヒストリアをいつも楽しみにしています。

先日の歴史秘話ヒストリアは太平洋戦争の直前まで駐日大使を務めていたジョセフ・グルーさん。最後まで太平洋戦争を回避するためにアメリカ政府を説得し、画策しました。ところが、10年間日本で大使として滞在したあと、1941年12月の太平洋戦争の開始とともにアメリカに帰国することになりました。その帰国直前に、将来の日本とアメリカの平和を願って、桜の若木を植えたそうです。

3年以上にわたる戦争の間も、太平洋戦争を早く終結させるために尽力し続けました。その努力もあり、1945年8月14日にポツダム宣言を日本が受諾し、太平洋戦争は終結。その翌日の8月15日にジョセフ・グルーさんは国務省に辞表を提出しました。それから最高司令官のマッカーサーからグルーさんを顧問として招聘したいと言う誘いがありました。しかしこれをグルーさんは「私は10年もの間日本で暮らし、たくさんの友人がいます。そこに支配者の顔をして行きたいとは思いません」と言って拒否したそうです。そしてその後、グルーさんは死ぬまで日本を訪れることはなかったそうです。僕、ここで泣いちゃいました。歴史秘話ヒストリアはほぼ毎回見ますが、泣いたのは初めてでした。

どれほど日本という国とそこにいる友人を愛し、大切に思っていたのかが伝わって来るお話でした。しかし一方で、大好きな日本を訪れて友人に会いたいという気持ちがあったはずなのに、外交官という立場であったため、そのことを遠慮したのでしょう。複雑な気持ちであっただろうと想像します。泣ける話じゃありませんか?^^

2015年8月2日日曜日

降りてくるものを伝える仕事

スイッチインタビューで作家の吉本ばななさんがこんなことを言われていました。

「ほっとくとだんだんじわじわ素材が寄ってくる。で、もう書かなきゃと思って書く」

作家の司馬遼太郎さんは「夜中にものを書いて、朝になって自分の書いた文章を見ると自分が書いたものとは思えない」とおっしゃたそうです。歌手のさだまさしさんは「音楽は神様から与えられるもの。それをみなさんにお伝えするのが僕の仕事」とおっしゃっておられました。

ある一定のレベルを超えた方々は皆、口にする言葉が同じです。僕が個人的に指導を受け、敬愛している心理士の先生も「技術は2割。8割は上から降りてくるから」と言われます。何かに夢中になって精進していると、その域に自分も達せられるのだろうと今はただ漠然と思っています。その域に達すると、治療しながらどんな景色なのか、今から楽しみです。だって、そうなればどんどん治療できて、精神科医という仕事がさらにもっと面白くなりそうですから。