2026年8月14日金曜日

夏の貴船

 先日、はじめて京都の貴船にある川床料理のお店に行った。連日38度が続く中、そこは別世界だった。川の上に座敷が広がり、そこに川床席がずらりと並ぶ。座敷に座るだけでひんやりとする。周りを見渡せば夏の緑が広がり、上を見れば、簾の天井。お客さんはそれなりにたくさんいるのに、川の水が流れる音に全部かき消されて、耳に残るのは川の音だけ。ザ・日本の夏だった。

 冷たいビールを一気に飲み干して一息ついて、ふと横を見ると、80代に見えるお母さんと50代に見える娘さんがお二人で食事に来られていた。お母さんは足腰が不自由なのか、床の上に座椅子を置いて座っておられた。娘さんがお母さん孝行のために来られているのは見てすぐわかった。ところがしばらくすると、お母さんが立ち上がって、中腰になりながら娘さんの袖リボンを結び始めた。娘さんは頬を赤らめて、でも嬉しそうにじっとお母さんの手を見ていた。いくつになっても母は娘の世話をしたいし、娘は母の愛を感じたい。夏の貴船川と緑が一層美しく見えた。

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