2022年4月29日金曜日

自分が患者にならないと感覚がずれてくる

 先日、生まれてはじめて大腸カメラの検査を受けました。どういうわけか僕の周りには消化器内科の医者が多く、みな口をそろえて40歳を超えたら大腸カメラは受けておいたほうがいいと言うのです。検査当日の日。内視鏡検査を担当してくださる先生の診察でどんな話が出てくるのか、平静を装いながらも体の筋肉は固くなっていました。簡単な問診のあとに先生は「しっかり診せてもらいますからね」と落ち着いた口調で話されました。そこに先生の経験と年輪を感じ、それだけで固くなっていた筋肉が緩みました。そうだ、患者さんってこんな感覚で僕のところに来てくれていたんだ。診察室を出るとき、自分の安堵感以外にも違うものを得た感覚になりました。

毎日医者という立場から患者さんを迎えて診療をしていると、それが日常になってきます。自分が患者にならないと、こちらからの一方的な視点になってどうしても感覚がずれてくる。自分の診療をできる限り客観的にみる目、無意識に芽生える自分のおごりを戒める目が必要です。それを大腸カメラをしてくださった先生に教えていただきました。

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