2022年4月29日金曜日

自分が患者にならないと感覚がずれてくる

 先日、生まれてはじめて大腸カメラの検査を受けました。どういうわけか僕の周りには消化器内科の医者が多く、みな口をそろえて40歳を超えたら大腸カメラは受けておいたほうがいいと言うのです。検査当日の日。内視鏡検査を担当してくださる先生の診察でどんな話が出てくるのか、平静を装いながらも体の筋肉は固くなっていました。簡単な問診のあとに先生は「しっかり診せてもらいますからね」と落ち着いた口調で話されました。そこに先生の経験と年輪を感じ、それだけで固くなっていた筋肉が緩みました。そうだ、患者さんってこんな感覚で僕のところに来てくれていたんだ。診察室を出るとき、自分の安堵感以外にも違うものを得た感覚になりました。

毎日医者という立場から患者さんを迎えて診療をしていると、それが日常になってきます。自分が患者にならないと、こちらからの一方的な視点になってどうしても感覚がずれてくる。自分の診療をできる限り客観的にみる目、無意識に芽生える自分のおごりを戒める目が必要です。それを大腸カメラをしてくださった先生に教えていただきました。

2022年4月22日金曜日

自分を蔑(さげす)まない

 有名な人や地位の高い人を前にしたとき、知名度や地位だけでその人と自分を比べて「すごい、この人と自分は違う」と自分を蔑んでしまうことがあります。そんなことをしても自分を傷つけるだけです。それなら追っかけみたいにキャーキャー言って「一緒に写真撮ってください」くらいのほうがましです。そのほうが気持ちが明るくなったり、元気をもらえたりするからです。自分だって自分の置かれた環境の中で一生懸命生きているわけです。知名度や地位という物差しだけで自分を評価してはいけません。わかっていてもそれをしてしまうのが人間とも言えますが、やはりそれはあくまでも一つの基準です。知名度や地位があることが自分の幸せだと考えるなら、自分を鼓舞する材料として「この人と自分は違う。もっとがんばれ」と利用するなら役に立ちます。でも、もしそうでないなら自分を蔑む必要はありません。知名度や地位と人の幸福度や人間性とは必ずしもイコールではありません。自分にとって何が幸せなのか、どんな人間になりたいのかのほうがずっと大切だと思います。

2022年4月15日金曜日

一人の時間を大切にする

 斉藤孝さんの「孤独のチカラ」という本を読みました。

今の人たちは誰かとつるむ、つながることを大切にする。社交的でそつなくやれる顔を維持することが求められる。それよりも一人の孤独な時間を大事にする。何かを成し遂げるには一人の時間は不可欠。自分を戦友にする。誰にも認められず、孤軍奮闘していたかつての自分を知っているのは自分だけだから。

この最後のくだりには、本当に勇気をもらえました。

斎藤さんの個人的な体験が本当に生々しく描かれていて、とても共鳴できました。僕も誰かと何かをしたときよりも、自分と向き合ってもがいていた時間のほうが成長できたと実感しています。自分一人の孤独な時間を充実させることは、自分の中にあるものを発掘し、自分ができること、自分が本当にしたいことを見つけるのに最適です。そんなものは誰も一緒に探してくれないし、探せません。また人は死ぬときは一人です。一人の時間を大事にすることは、不安にならず死を迎えられることにつながります。人生を通じて、一人の時間を持つことの大切さを改めて感じました。


2022年4月8日金曜日

人は誰かに見てもらいたい

モデルや芸能人はデビュー当時とピーク時を比較すると、まるで別人のように魅力が増します。それは誰かが見てくれているから魅力を増しやすい。でもピークを過ぎてしまうとその顔つきはまた変わります。それはモデルや芸能人だけではありません。人は誰かに見てもらえてると思うから、力が湧いてきてさらにがんばることができるのです。人は誰かに見てもらいたい。これは決して悪いことではなく、自分の存在意義を確認するための当たり前の感情だと思います。

2022年4月1日金曜日

本当の友達とは

 「友達」ついてこんな言葉を聞いたことがあります。

本当の友達とは、自分に嬉しいことがあったときに一緒に喜んでくれる人のこと。悲しいときに一緒に悲しんでくれる人は多いが、嬉しいときに一緒に喜んでくれる人は少ないから。