2019年3月29日金曜日

人と競争しない

 少しでも多く顧客をつかむために、多量に仕事をこなし、しかも早く、安くする。どの業界でもある現象です。つまりは限られた数のパイを取り合うということ。それは一時的に生きつなぐために必要なこともあると思います。ただ、それを続けていくと、その業界の中で生き残りをかけた生存競争が始まり、ほとんどの人はそれに負けて、最終的にはその業界から消えていくしかありません。みんなが生き残っていくためには視点を他の競争相手に向けるのではなく、目の前の仕事に向けて、どうすればいい仕事ができるのかに向けることが大切だと思います。そうすればたとえ偶然、他の人と競争になってしまっていたとしても、どうすればいい仕事ができるのかの視点に立ち戻れば、また次の道が見えてきます。また、多くの仕事は実は勝負事ではありません。
 主眼が自分の目の前の仕事ではなく、他の人との競争に向いたときはあまり幸せなことは起こりません。みんなが視点を自分の目の前の仕事に向けて、どうすればいい仕事ができるのかを考えていれば、もう少し幸せな日が来るのではと思います。

2019年3月22日金曜日

精神科医は技術者

僕は勝手に一方的に言っているのですが、僕には3人の師匠がおられます。その中で一人目にお会いできたのが山上敏子先生です。山上先生がよくおっしゃっておられた言葉をいつも思います。

「私たち精神科医は技術者だからね」

僕はそれまで人の気持ちや心ってどうやって治せばいいのかと想像がつきませんでした。なぜなら治したいという気持ちはあっても、自分が治せたと意識できたことが一度もなく、なぜその患者さんがよくなったのかが自分で説明できなかったからです。でもこの言葉を聴いてから、自分なりに勉強を進める中で、人の精神や心を治すなんてのはテーマが大きすぎるけど、技術があれば患者さんに楽になってもらうことはできるんだと少しずつ実感がわくようになりました。人の気持ちが楽になるにはちゃんと理屈があるということを知りました。精神科医は技術者。精神科医に勇気を与えてくれる言葉だと思っています。

2019年3月15日金曜日

知識と技術は違う

知識は頭にはすぐに入るけど、それを使いこなすには時間がかかります。その知識を使いこなすことを人は「技術」と呼ぶのだと思います。その技術を習得するためには、その知識を深めて自分の物にして使いこなすまでの時間と努力が必要になります。安易にすぐできるみたいな表題の本がもてはやされますが、それを手にした時に1回読んで頭に入れるだけで終わると、本当に知識だけになって、時間が経てば後にはほとんど何も残らなくなります。その知識を使いこなせるようになるまでしつこくやり続けるかどうかが大切です。ただ、知識が何も悪いわけではありません。知識を技術まで高めるにはエネルギーがいります。なので、自分がこれだ!とホントに思えたものについてだけは知識で終わらせずに、技術にまで高めていけば、それでいいと思います。

2019年3月8日金曜日

自分がどう感じるのかが大切

人はテレビで語られてること、有名人が語っていること、本やメディアなどの活字になってるものを信じやすい傾向にあります。おそらくそれはテレビに出る人、有名人、活字になるというのは一般の人からすると、信ぴょう性が高く、何か特別ですごいものだという意識があるからではないかと考えます。かくいう僕もそんな情報に揺れます。でも入ってくる情報に翻弄されすぎると付和雷同という形になってしまい、自分を見失って、結局自分がしんどくなってしまいます。なので入ってくる情報を一旦は受け止めた上で、自分はどう感じるのかを見つめてみる。それを大切にすることがいいかなと思います。

2019年3月1日金曜日

患者さんは意図せず治療者に多くのことを教えてくれる

患者さんが治療者にとって師匠であり、治療者は患者さんに感謝するべきであるというのは再三ブログで書いてきました。その中でのもう一つの気づきがありました。それは患者さんはご自身の辛いこと、苦しいことをなんとかしたいという思いでたくさん語ってくれます。それはもちろんご自身の治療のためであり、こちらも治療者としてそれに答える義務があります。ただ、診察の時間は治療者にとっては治療ということ以外の意味があります。それが患者さんの語るときの表情、こちらの言葉への反応、思考のパターン、その人の歴史など、患者さんはご自身は意図せず、これらを治療者に教えてくれます。それらの情報はその人だけでなく、他の人たちの治療を行う際に非常に多くの助けになります。なぜなら人の表情、反応、思考パターン、歴史には様々ありますが、共通している部分も多いからです。それがまた次の患者さんの治療に役立つ。治療者としては貯金をさせてもらっているような感覚です。意図せず患者さんは教えてくれる。本当にありがたい限りです。