2025年5月16日金曜日

その人の「持ちもの」と人間性は関係ない

~の仕事をしている、~大学を出た、~っていうすごいことができる、~っていう有名人と友達。

ネタは何でも同じだが、人はどうしてもこういうものに弱い。もちろん僕も。ずいぶん前のことだが、仕事でとても尊敬していた人が些細なことで攻撃的な発言を始めたとき、愕然とした。本当にショックだった。僕はその人への尊敬の念が強すぎて仕事ができるから人間的にも素晴らしいのだと信じ切っていた。それよりもっと前には職業や学歴がすごい友人を見て、人間的にもすごいのだと勘違いしてショックを受けたこともあった。

職業も学歴も特技も知人も、果ては身体的な外見、身に着けている時計、車や家や住んでいる地域も、すべてその人そのものではなく、その人の「持ちもの」に過ぎない。でも人はどうしてもその人の「持ちもの」に目を奪われてしまう。中には自ら自分のすごさ(持ちもの)について語りだしたり、人に見せたがる人がいるが、そんな人で本当にすごい人を僕は見たことがない。その人の「持ちもの」と人間性は何の関係もない。人に会うときはこれを忘れないでいたい。

2025年5月9日金曜日

みんな同じようなことが人生には起こっている

 僕はさだまさしさん、中島みゆきさんの歌が好きだ。心の奥底にあるものに触れてくれる。お二人が人生で感じたものを歌詞にしてくれたのだと思うが、実際は同じようなことは誰しもが人生で起こっているのだと思う。でなければ多くの人に共感してもらえるわけがないからだ。お二人のような表現者とそれ以外の人との違いは、同じものを見たときでも感じ取れるものや量が違うこと、それを表現する力があることだと思う。逆に言えば、ほかの人がすごく見えても、そうでないように見えても、実はみんな同じようなことが人生には起こっているのだと思う。

2025年5月2日金曜日

精神科医がお手伝いできることはとても限られている

患者さんの中にはとても辛そうに見えるのに「全然大丈夫です」みたいに何も問題を語らずに帰られる方にお会いすることがある。僕として内心とても気になるし、本当に大丈夫なのかなと思うが、ご本人が大丈夫とおっしゃるのに無理やり問題を話させるわけにはいかない。そんなとき僕が思うのは、本当は問題があるけど言いたくないという場合もあるだろうが、診察とかそんな場で話すような内容ではない全く別の事情を抱えておられるのかもしれない。そんな風に想像している。とても当たり前の話で恐縮だが、人は何か悩みを抱えているからと言っていつも精神科で相談するわけがないからだ。僕ら精神科医がお手伝いできることはとても限られている。

2025年4月25日金曜日

人は問題を探し求めて生きているのかもしれない

ひとつの目標を達成するためにすべてをそこに費やしていると、それさえ達成できたら人生がバラ色で、楽になれると思いがちである。でも実際はそれが達成されてもまた別の悩みが生じたり、別の問題が見えてきたりして、想像していた日常とは違う日々がまた始まる。人は問題を探し求めて生きているのかもしれない。というか、何も問題がないよりも何か問題があるほうが生きていられるのかもしれない。もしも「何も問題ありません」みたいな日々が続いたら人はどうなっていくのか。ちょっと耐えられないような気がする。

2025年4月18日金曜日

「~でなければならない」という考えを持っていていい

「 ~でなければならないという」考えがあなたを苦しめているから、それをやめなさい。よく聞く言葉である。生きているとたしかにそうだと思うことが何度もある。でも一方で、子どものときから「~でなければならない」と教えられるし、人生には「~でなければならない」という考えがないと自分を支えられないことが起きる。僕は「~でなければならない」という考えを持ったまま生きていてもいいと思う。それがその人の生そのものを支えていることってたくさんあると思うから。そもそも「~でなければならない」という考えなんて大小の差はありながらもみんなが持ちながら生きているのではないだろうか。