2025年3月14日金曜日

歳を重ねることは想像力がつくこと

 先日、レストランで大声で店員さんに怒鳴っている若い人を見て、僕の横にいた年配の方が「若いな」とぼそっとつぶやいていた。自分のことを思い出した。30代前半のころ、お店で店員さんの態度に僕が怒って父に愚痴っていると父から「それくらいええやないか。そんなことで怒ってどうするねん」と諭されたことがあった。当時の僕は間違ってるものは間違ってると確信していたので父の言葉は僕にはまったく響かなかった。でも年齢が上がってくると、相手の背景や事情、怒ったあとの自分へのストレスやその後の流れを想像するようになり、その瞬間は腹が立ってもそれを維持することが馬鹿らしくなった。すると許せる範囲が勝手に広がった。

個人差はあるだろうが、歳を重ねるということは想像力がつくことなのだと思う。

2025年3月7日金曜日

みかんの声が聞こえるようになりたい

NHKの小さな旅という番組。先日は愛媛県でみかん農家を経営する60歳の男性が出ておられた。みかん農家の家に生まれ、小学生のときからみかんの収穫をしてきたという。少しでもおいしいみかんを作ることを目標にされているそうだ。

みかんの声が聞こえるようになりたい。「お腹すいたよ」「のどが渇いたよ」もっといいのは「今が一番おいしい時期だから収穫して。これ以上置いておくと美味しくなくなるよ」。でもまだ全然みかんの声が聞こえない。それが聞こえたら幸せだと思う。

その男性はこれを話しながら少し涙が出そうになっているように僕には見えた。

自分の仕事を極めようとする人はみんな、こんなことを考えるのだと思う。