2023年12月29日金曜日

集団の中での孤独が一番さみしい

先日、スイッチインタビューの再放送を見ました。BUCK-TICKのボーカルの櫻井敦司さんと芸人のヒロシさんでした。

その中でこんな話がありました。ヒロシさんは子どものとき友達が少なく一人で遊んでいることが多かったそうです。さらには いじめまで。。集団でいるときはわーってみんなで遊んでるのに、チーム分けになると途端にはぶられて一人になってしまう。

これって多くの人がしている経験ではないでしょうか。僕も小学校のころ何かでチームを決めるたびに自分だけそこに入れなかったことが何度もありました。そして親しくもないのにあぶれた子たちでチームを作って微妙な空気が流れたり、先生が僕の相手をしてくれるのです。それは筆舌に尽くしがたいものでした。

ヒロシさんは続けます。

「一人でいることはさみしくない。何がさみしいって集団の中での孤独が一番さみしい」

ドキッとしました。この言葉って実はみんなに言えることじゃないかと思うのです。一人でいるときにさみしいと思うのは、みんなから離れていることを感じるから、社会という集団の中で自分だけ孤立していると感じるからさみしい、いや、怖いってなるのだと思います。それは子どもだけじゃありません。診療をしていると主婦の方がよくおっしゃいます。「ずっと家にいると社会から離れて役にたってない自分、って思うと不安になってくる」と。大人も同じです。ヒロシさんの言葉は人の心理の核心をついていると思いました。

2023年12月22日金曜日

人の心の美しさ

 



以前にも僕の絵を描いてくれた患者さんが今度は絵だけでなく、僕の人形まで手作りしてくれました。「顔の部分が一番苦労しました」と言ってくれたときはとてもありがたい気持ちになりました。誰か(今回は恥ずかしながら僕ですが)のことを思って何かに一生懸命な人を見ると、人の心の美しさを感じます

2023年12月15日金曜日

人生はわからないことだらけ

 先日のスイッチインタビューはフリーアナウンサーの古舘伊知郎さんと芸人の山里亮太さんでした。お二人ともが「しゃべること」を生業にされている方です。自分の中からしゃべることが湧いてこないという山里さんが古舘さんに「しゃべることが自分の中から湧いてくる原動力ってなんですか?」という質問に古舘さんは「人生がわからないことだらけだから。自分がなぜ生まれて来たかも、どうやって死んでいくのかもわからない。だから、みんなこんなこと思ってませんか?っていう思いが湧いてきてしゃべっている」という主旨のことをおっしゃいました。

僕は以前からお二人ともが他の人と違った視点で物事を見ている方でありながら、とても心配りのできる方だととても尊敬していました。なのでこの番組を見たのですが、古舘さんのこの言葉には脱帽でした。特に「人生はわからないことだらけ」という部分。人はみんな人生についてわかったようなことを言います。もちろん僕も同様です。でもみんな実際はわかっているわけです。一生かけても人生なんてわかるわけがないことを。過去にあったこともどうしてあんなことが起こったのか、今もどうしてここに暮らしているのか、なぜ今の家族なのか、これからどうなるのか、とどのつまり自分はどこに向かって生きているのか。まったくわからないわけです。不安だからこそ自分なりに人生を総括して、「人生ってこういうものだ」って言いたくなるわけです。でもわからないものをわからないと意識できていること、それを言語化できていることがすごいと思いました。意識して言語化するためには普段から相当物事を突き詰めて考えていないからです。

話は脱線しますが、この番組の中で古舘さんが純粋な気持ちで少年のように思い悩んでいる山里さんの膝を叩いてまで山里さんの悩みに答え、心から応援する姿、時に「偉そうなこと」を言ったと自分にブレーキをかける謙虚な古舘さんに感動しました。

ふっと涙がこぼれるスイッチインタビュー。ありがとうございました。

2023年12月8日金曜日

自分がしていることを信じる

信じること。

本当によく聞く言葉です。その最たるものが宗教であり、太古の昔からある祈りもその一種ではないかと思います。なんでこんなにも人は何かを信じようとするのか。それは人生にはそれまでのどんな経験や知識をもってしても通じないことがあるからです。頭の中でどんなにつじつまを合わせようとしてもうまくいかない。だから人は心の平穏を得るために「信じること」をするのだと思います。逆に、信じることができれば平穏が訪れます。特に自分がしていることを信じられれば。

先日の新聞にこんな言葉がありました。その記事を寄稿されている方が昔上司に言われた言葉だそうです。

「正しいことをやっているか。そう確信できるのなら必ず光が見える。やり続けるんだ」

自分のしていることが正しかったら、どこまでもそれを信じ続けること。人生の有事ではほとんどの場合、人は自分で乗り越えなければなりません。そんなとき自分がしていることを信じることは、どんな偉い人の言葉よりも自分を奮い立たせてくれるのだと思います。

2023年12月1日金曜日

ものの見方と心の状態

 ものの見方を変えると心の状態は変わるし、心の状態を変えるとものの見方も変わります。その二つは相互作用でつながっているように思います。ものの見方から変えてもいいし、自分の心の状態から変えてもいい。つまり物事を肯定的に見れば、自分の心に余裕ができるし、心の余裕を持てば、物事を肯定的に見やすくなる。自分が変えやすい方から変えてみるといいと思います。

2023年11月24日金曜日

見え方は思考によって変わる

人は否定的になると視野は狭まり、肯定的になると視野が広がります。たとえば、誰かを否定するときそはその人の一部しか見えていないけど、肯定するときはその人を広く見ることができます。どちらがいいかは言うまでもありませんが、物事をどう見るかで人生の景色は変わってきます。

2023年11月17日金曜日

ここで働きたいと思う人が働いてくれたらいい

テレビで見た北新地のママの言葉です。高級クラブでの人の出入りは相当なものだと思います。それと比較すれば僕の悩みは小さすぎますが、小さいながらクリニックを運営している者として人の雇用について悩むことがあります。自営業で人を雇用する立場にある人ならみんな同じ悩みを持っておられるはずです。そんなとき、この言葉は悩んだ末に行きつく境地のようで、支えになってくれる言葉だと思います。


2023年11月10日金曜日

苦しいことがあったその日の夜に

それまでの人生で経験したことがないくらい苦しいことがあったときは、その日の最後に自分にこんな言葉をかけてあげてください。

「今日も生き抜いた」

2023年11月3日金曜日

私を相手にしてくれない人たちがいて幸運だった

先日のNHKの再放送で新型コロナウイルスのワクチンのもとになったmRNAワクチンを作ったカタリン・カリコ先生が真剣な表情でこんなお話をされていました。

私のことをヒーローという人がいますが、それは違います。患者を治療する医師や看護師、それに清掃作業の人たち。感染のリスクがあり命を危険にさらしている彼らこそがヒーローです。私はただ研究室にいただけです。

これはカリコ先生が謙虚だから、あるいは謙遜しているのではなく、先生の本心だと思うのです。先生は最後にこんなことも言っていました。

自分が(新型コロナウイルスの)ワクチンを打っているとき私を相手にしてくれなかった人たちのことを思い出しました。でも幸運だったと思います。彼らがいなければここまでたどり着かず、今回のワクチンもできなかったかもしれません。「もっといい実験をしたい。効果を証明したい」と思ったことで研究が進み、科学が進歩したのです。

人は自分が一生懸命していることを相手にされない経験をすることがあります。僕はこの言葉にとても勇気づけられました。多くの人を支えてくれる言葉だと思い、ブログに書きました。

2023年10月27日金曜日

人生は、本当の意味で受け取るのに時間を要する言葉との、邂逅の連続でもある

 今、日経新聞で毎週土曜日に若松英輔さんのコラムがあり、僕は毎週土曜日の朝を楽しみにしています。先日の内容はこのようなものでした。

仕事の人だったお父様は生前、若松さんが仕事で忙しいのを知っていながら「からだに気を付けろ、無理をするな、誠実な仕事をしろ、雑誌に載った文章を読んだ」という主旨の電話を繰り返しかけてきたそうです。そのとき若松さんはそんなことで電話してほしくないと思ったといいます。そしてお父様が亡くなられて月日が経ってからその真意に気づいたそうです。

真摯なおもいから発せられた言葉は、たとえ出会ったときにその真意がわからなくても心の片隅に置いておくのがよい。人生は、本当の意味で受け取るのに時間を要する言葉との、邂逅の連続でもある。

若松さんの言葉です。人生を生きていれば誰しもが感じていることではないでしょうか。


2023年10月20日金曜日

お互いが感謝しているときが最もいい状態

 対人関係は人生における大きなテーマの一つです。対人関係が最もいい状態とはお互いが感謝しているとき。僕はそう思っています。

2023年10月13日金曜日

自分の気持ちを分かってほしい

仕事をしている人なら誰でもクライエントから心無いことを言われたことがあると思います。僕も同じです。それを何回も経験していると、なぜ患者さんがそんなことを言ったのかの理由が少しずつ見えてきました。そのほとんどの人は僕やスタッフが憎くて言ったのではなく、自分の気持ちを分かってほしくて言っていたのでした。これはどんな職種でも同じではないかと思いました。

2023年10月6日金曜日

お客さんへの心遣いにエネルギーを使う

先日、お昼過ぎにとてもお腹がすいていました。街を歩いていると、とてもいい炭火焼きの魚の匂いがするのです。心の中でよだれが止まらず惹きつけられるようにそのお店に入っていきました。ところが対応してくれた店員さんは疲れていたのかトーンの低い声で「いらっしゃいませ」と。その瞬間、お店に入る前にあんなに大きかった食べたい僕の気持ちは半減していました。小さなクリニックをしている僕は人のことを言っている場合でありません。お客さんにとっては自分が歓迎されているかどうかでそのお店の味が決まってしまう。働く人だっていつも元気なわけではありません。でも働く人はお客さんへの心遣いにエネルギーを使うのであり、お客さんはそこにお金を払うのです。とても勉強になりながらも緊張した瞬間でした。

2023年9月29日金曜日

交流がないとその人のことを悪く考えがち

人は交流がないとその人のことを悪い方向に考えがちです。かといって、無理に交流する必要もありません。交流がない人のことをあまり考えすぎない方がいい。あれこれ考えたところで結果は変わりません。それなら自分の心の平穏について考えたほうがいいなと思います。

2023年9月22日金曜日

福岡にて


学会で福岡に行ってきました。僕は個人的に福岡が大好きです。行くたびに感じることですが、人がやさしい、食べ物が高くないのにおいしい、街が大きすぎなくて移動がスムーズ。これら3つ街を訪れる人としてはとても大きな条件です。今回の滞在中、福岡の空は広くてきれいだなと思っていたら、よく考えると高層マンションなどの高い建物がないのです。それが気になってタクシーの運転手さんになぜ福岡は高い建物がないのか尋ねると、市内に福岡空港があるので建物の高さに制限があり、高層マンションなどはすべて郊外にあるのだそうです。高い建物は正直疲れます。それがない福岡がまた好きになりました。

2023年9月15日金曜日

何もないのに涙が出るのは必ずしも精神を病んでるわけじゃない

 何もないのに涙が出るときってありますよね。それは必ずしも精神を病んでるわけじゃなくて、そのくらい必死に生きているってことだと思います。

2023年9月8日金曜日

人は他人には変化せずにいることを望む。自分は変化しているにもかかわらず。

自分を含めたいろんな人を見て、そう思いました。すべてのものは変化せずにはいられない。どこかで聞いたこんな言葉を思い出しました。

2023年9月1日金曜日

大切なのは入口ではなく出口

何かの契約をするとき、そこの職員さんはお客さんを大事にしてくれます。僕が経験したのは携帯電話の契約、不動産屋さんでした。とても丁寧な言葉遣いと接遇で接してくれます。でもその契約を終えるとき、その人たちの態度は真逆でした。

仕事で大切なのは入口ではなく出口だと僕は思います。なぜなら次また利用してもらえるかどうかは、出口を出るときのお客さんの気持ちで決まってしまうからです。仕事が成り立つかどうかは継続的に利用者がいるかどうかが生命線です。逆に出口を大切にしていると、また利用したいと思うお客さんが増えていく。そんなことを思いました。

2023年8月25日金曜日

同じことをやるんじゃない

子どもを亡くした家族はずっとそこに止まってる。僕らは先に進んでいくけど。そのご家族のことも忘れたらあかんと思うんですよ。それで僕らができることって言うんのは、同じことをやるんじゃなくて、ちょっと変えて、ちょっと変えて、あるときはがっと変えて。

先日のプロフェッショナルに出ておられた小児心臓外科医の山岸正明先生の言葉です。心にグサッと突き刺さる言葉でした。次に同じことが起こらないように医者として常に変化し、進歩し続ける。肝に銘じたいと思いました。

2023年8月18日金曜日

台風の日に

先日の台風が大阪を直撃した日、キャンセルが多くなることはわかっていましたが、予約してくださってる方がおられるので開院しました。どれくらいの方が来てくださるか予想がつきませんでしたが、何人かの患者さんが来てくださりました。するとその中に台風の中でも診てもらえたと感謝してくださる方がおられたのです。僕と当院のスタッフとしては内心、台風の中でもよく来てくださったなという気持ちでいたので、驚きというか嬉しさというか、なんとも言えない気持ちになりました。しかもいつもよりも時間的な余裕がある分、僕を含めてスタッフ全員がゆったりとした気持ちで患者さんたちに接することもできました。その日の朝は僕ら全員が不安が大きかったのですが、無事に診療を終えることができた上に、患者さんからまた力をもらえたとみんなで一緒に喜びました。僕らが患者さんたちの力になれることがあるかもしれませんが、患者さんたちも僕らに力をくれる。改めてそう思わせてくれる台風の日の出来事でした。

2023年8月11日金曜日

10年という節目に

8月6日で開業してから10年が経ちました。こういうとき、あっという間という言葉を使う人を見てきたのですが、僕にはそんな感覚はまったくありません。本当にたくさんのことがありました。雇用者から雇用主になることは、僕の世の中の見方を大きく変えてくれました(言うまでもないですが、どちらに優劣があるわけではありません)。今はその機会をいただけたことに心の底から感謝しています。そしてもう一つ大きな感謝があります。これまでたくさんの患者さんに来ていただき、たくさんの人に働いてもらいました。もちろん今も通院してくださる患者さん、働いてくれているスタッフがいます。そして周囲から醫院を支えてくださる方がいます。そんなすべての人たちのおかげで今も診療を続けられていることに感謝しています。

2023年8月4日金曜日

強くなるときって、負けたあとなんだよね

 先日のNHKで紹介されていた柔道家の古賀稔彦さんの言葉です。子どもたちに柔道を教えているときに出てきた言葉でした。一見どこにでもありそうな美しい言葉なのに、とても胸に突き刺さりました。言葉が力を発揮するかどうかはその人の状態によって変わりますが、がんばったのに結果が出ないとき、この言葉は人を救ってくれると思います。

2023年7月28日金曜日

この世にはすべてのお客さんを満足させられるお店は存在しない

すべてのお客さんを満足させたいと思うのが自営業をしている人の思いではないでしょうか。そんなとき、ふと思った言葉です。お客さんの考え方は千差万別であり、有能な社長がスタッフをいくら教育しても考え方をすべて同一のものにすることは不可能、有能な社長も完璧なわけがない、お客さんのその日のコンディション、スタッフのその日のコンディション、予期せぬアンラッキーなことが起こるなど、お客さんが満足できない状況が起こる要素は無限にあります。

もちろん、来られたお客さん(医療機関であれば患者さんやその家族)に満足してもらうよう、最大限の努力、不断の努力を継続しますが、お客さんの満足度が100%になることはありえません。そう思えば、心に少し余裕を持って仕事に臨むことで集中力が高まったり、冷静な判断ができてミスが減り、それがお客さんの満足度の向上につながると僕は思っています。

2023年7月21日金曜日

マクナマラの誤謬

 先日の映像の世紀は「マクナマラの誤謬(ごびゅう)」でした。恥ずかしながら僕はこの言葉をこの番組を見てはじめて知りました。以下にNHKのホームページにあった文章を転記します。

数字にばかりこだわり、物事の全体像を見失うことを「マクナマラの誤謬」という。この言葉の由来となったのがアメリカの国務長官を務めたロバート・マクナマラ。マクナマラはデータ分析を駆使してベトナム戦争に勝利しようとしたが、数字では測れないベトナム人の愛国心やアメリカ市民の反戦感情に目を向けず泥沼の戦争を招いた。

この番組の最後に「マクナマラの誤謬」という言葉を作った社会学者ダニエル・ヤンケロビッチの言葉が以下のように引用されていました。

20世紀になって私たちは数字で測れるものはすべて計測するようになりました。計測できるものは計測して、計測できないものは忘れようと考えるのは致命的な失敗への第一歩なのです。

本当にそうだなと思いました。数字はとてもわかりやすく説得力を持たせてくれます。でも数字至上でものを考えることは違うのだと思いました。僕が勉強している精神療法(対話で患者さんを治す治療法)は数字で測れるものではありません。なぜなら患者さんは一人一人違うし、同じ患者さんでもその時によって状態や考えは変わります。当然、治療者である自分もそのときによって変わります。精神科医は対話で治療する医者であるため、ハンコで押したように同じ治療を提供することは不可能です。つまり精神療法はすべて、毎回、一期一会なのです。それを診断名などでまとめてひとくくりの数字で評価してしまうのはとても危険だと僕は思っています。同じ診断名でも各患者さんごと、そのタイミングごとですべて違うからです。そう考える僕にとって「マクナマラの誤謬」という言葉は大きな勇気を与えてくれました。

2023年7月14日金曜日

プロとしてやらせていただいている以上、当たり前のこと

先日、卓球の石川佳純選手が引退されました。Tリーグなど卓球を普段から見るわけでもないのに、石川選手が僕は好きでした。ほかの選手も同じはずなのに、気迫と本気度が一番伝わってきたからです。その引退会見の中で「記者からの質問で一番印象に残っているのは何ですか?」という質問からありました。それに対して石川選手はこう答えていました。

どうして負けちゃうんですか?どうして勝てなくなったんですかと厳しい質問をいただきました。でも選手として、プロとしてやらせていただいている以上、(その質問を受けるのは)当たり前のことなので。

胸がジーンとしました。ご本人だって全身全霊でやっていてそれでも結果が出なくてどれほど悔しかったか。さらにその上からかぶせるように、なんで負けるんだと聞かれても、それはプロとして当たり前と思える心構え。頭が下がりました。

2023年7月7日金曜日

駅で男同士が別れるとき

 先日韓国に行ったとき大きなターミナル駅で僕は親戚の兄さんが来られるのを待っていました。兄さんの電車が遅延して、暇ながらも待つしかないのでただただそこにいる人たちを見ていました。久しぶりの再会を喜ぶ人たち、しばらく会えなくなると別れを惜しむ人たち。その中に50代くらいに見える中年男性の友達同士が別れの挨拶をするが目に入りました。日本に比べれば、韓国では同性同士でも抱き合い、手をつなぎ、人対人として愛情表現をはっきりとします。駅まで送りに来た方の男性が友人を抱きしめて頬にキスまでして、見送っていました。空気感から同性愛というものではなく、本当の親友との別れを惜しむ姿でした。抱擁とキスを受ける友人も恥ずかしがりながらもとてもさみしそうに見えて。その後、お互いが身体が離れて手を振った後、お互いをまた振り向いて見るのかと思えば、二人ともすぐに目的の方向をまっすぐに向いて歩き出すのです。僕ならもう一度相手の姿を見て、目を合わせたくなるのに、それをしないで別れたあとは潔い。これが男同士の別れなのだと感じました。お互い内心でやせ我慢しているはずなのにそのそぶりは一切見せない。50年以上の人生の中でこれまで何度となく別れを経験したことで、引きずると自分がしんどくなるのがわかっているかのように。その数分間にいろんなことを思いました。

2023年6月30日金曜日

屋久杉は厳しい環境で育つため、丈夫で長生きする

先日のブラタモリは屋久島でした。 屋久杉は本州の杉に比べて年輪の幅が狭い。それはゆっくり成長している証拠だそうです。屋久島は花崗岩の岩山なので、もともと土地自体に栄養が少ない。そのため少しずつしか育てない。その分、年輪が詰まった丈夫な木になれる。本州の杉の樹齢は500年、屋久杉は1000から2000年。厳しい環境でゆっくり育つため、丈夫で長生きするのだそうです。人間みたいだと思いました。簡単に育つと弱いけど、厳しく育つと強くなる。子ども、大人を問わず、人は生きることで自分の年輪を作っていっている。厳しい環境で生きることはとても辛いことだけど、そのほうが実は強くなれることもある。そんなことを思いました。

2023年6月23日金曜日

人生は思い通りにならないことに気づいていく過程

生きていく中でこんなことを考えるようになりました。年齢が上がっていけばいくほど「物事は思い通りになる」という信念が薄まっていきます。その最たるものが身体です。身体は老化によって自然に動きが悪くなっていきます。その一つ一つを受け入れるのは大変なことですが、身体が思い通りにならないなら、それなりに生きていくしかありません。でもそれに合わせて生きていくと、それはまたそれなりに生きていける。そう考えると、大きな流れに抗わず生きていくことが良い生き方なのではないかと思います。

2023年6月16日金曜日

ありがたい絵



児童精神科ならではかもしれませんが、絵を描いている子どもたちから絵をプレゼントしていただくことがあります。その中のひとりの患者さんがその月に合わせて僕をモデルにした絵をプレゼントしてくれます。この絵もそのひとつです。ちなみにこの絵は5月のもので、4月にいただきました。僕は絵についてまったくわかりませんが、この絵が好きです。見ていてほっとする。描いている人の心のきれいなところが見えるからです。人は人の心のきれいなところに触れると、幸せを感じるものです。さらにこの子の絵を院内に展示させていただくと、いろんな患者さんから「上手」「似てない(笑)」などとコメントもいただけているようで、僕までうれしくなります。
(ブログへの掲載については患者さんのご両親から了承を得ています)

2023年6月9日金曜日

上見て生きろ、下見て暮らせ

作家の開高健さんの言葉だそうです。この言葉はいろいろ解釈されているようですが、僕は「志は高く、日々は地味なことを積み重ねろ」と解釈しています。地面を見ながら山を登っていたら知らない間に頂上に着いていた、というのと似ている気がします。そんな解釈が人を元気にしてくれる。そう思います。

2023年6月2日金曜日

続けることだけが私の才能

 先日亡くなった俳優の奈良岡朋子さんは19歳から93歳まで現役の俳優、ナレーターとして活躍された方です。若いころに同じ劇団の大滝秀治さんと互いを励ましあうために、いつも交わしていたのがこの言葉だそうです。現状が辛すぎたり先が見えなかったりするとき、この言葉は勇気づけられる言葉だと思いました。

僕自身も子どものころから何か特別なものを持てなかったので、何か一つ少しでもできることを見つけたら続けることだけを意識してきました。たとえば、このブログを書き始めて今年の4月で10年が経ちました(途中のブログは内容が今の僕の考えとあまりに乖離しているので削除しています)。「ほかの事はできないけど、これは自分でもできる」と思うことについては継続することを大切にしよう。奈良岡さんの言葉を聞いて改めてそう思いました。

2023年5月26日金曜日

人が感動するのは手間をかけたもの

去年のお正月にふと小説が書きたくなって、去年の1年間小説を書く学校に通っていました。そこには入学式というものがあり、プロの小説家やセミプロの講師の先生が新入生に激励の言葉をくださいます。そこである先生がこんな言葉を言っていました。

いい小説とは手間ひまかけたもの

この言葉は僕のようなど素人が実際に小説というものを書いても、痛感させられるものでした。でもこれってよく考えると、どんなものにでも言えることなんじゃないかと思いました。文章はまさにそうですが、芸術、料理、サービス、人がしたものに人が感動するのはすべて、人が手間をかけてきたものなのです。その手間ひまに思いを馳せたとき、人は感動するのだと思います。

2023年5月19日金曜日

回り道をした分だけ多くのことが見える

 돌아서 간 만큼 많은 것이 보인다

(人生は)回り道をした分だけ多くのことが見える

誰が言った言葉かはわかりませんが、僕が好きな韓国語です。人生は自分の思い通りにはならないものでありながら、なんとか自分の思い通りにしたいと努力し、迷い、挫折するものです。一見あまりに無駄に見える時間もあると思います。でも回り道をしたらそれだけ見えてくるものも多くなる。もっと言うならば、人生に無駄なことはない。そんなことをこの言葉は教えてくれる気がしました。

2023年5月12日金曜日

諦めることで道は拓ける

 先日の新聞に出口治明さんの言葉がありました。出口さんは生命保険会社の仕事を経て、現在は大学の学長をされている方です。僕もいくつかご著書を読ませていただいて、知的好奇心をくすぐってくれる内容、テレビでお見受けしたときの語り口に、とても魅力的な方だと思っています。以下は出口さんの言葉です。

どこに居合わせるかは運命で、どう適応するかは自分次第。ならば川の流れに身を任せ、岩にぶつかったり濁流にのまれたりしながら流れ着いた場所でベストを尽くそう。諦めることで道は拓ける。

諦めるという言葉には、ギブアップという意味以外に、苦難とともに「やる」と決めることという意味があるそうです。人は自分の選択とは言え、思い通りにならないこともたくさんあります。あるいは望んでもいないのに苦難に立たされることがあります。それならその現状を心の底から受け入れて、その中で最善を尽くす。そうすれば、自分が思いもしなかったことが始まり、そこに道ができる。ある程度の期間人生を生きてきている人であれば、誰もが理解できる、あるいは経験したことのある話ではないかと思いました。出口さんは先日脳卒中に倒れ、今は毎日リハビリをしながら、学長とのしての仕事を続けておられるそうです。言葉と行動が一致することのカッコよさを感じました。


2023年5月5日金曜日

営業をしないことが最高の営業

 先日、眼鏡を修理したくてある眼鏡屋さんに入ったときのことでした。僕の使っている眼鏡と同じメーカーの部品まではなくて完全な修理はできないという話でした。しかし、対応いただいた男性は僕の眼鏡を見て、「まずは眼鏡をきれいにしますね」と言いながら、眼鏡をきれいにしてくれました。その後も同じような眼鏡がないかを尋ねるといくつかおすすめをしてくれるのです。いつもの営業のような感じで来られるのかなと思って「修理はできないけど、この眼鏡ってまだ使えますか?」と聞くと、「もちろんです。まだまだ大丈夫ですよ」と言ってくださいました。これまでのお店だと次の商品を売ろうと、あれこれ理由を説明されていたのに、売ってやろうという変な欲がないことを感じました。それがとても心地よくて、ついほかの眼鏡を買ってしまったのです。

仕事になると売り上げを気にして営業をしてしまうのが多く人の人情だと思います。それよりも、目の前のお客さんが何を望んでいるのか、その人にとって最善のものを提供する。それが最高の営業になるのだと学びました。

2023年4月28日金曜日

我が子をおんぶしてあげたいお父さんの気持ち

先日のNHKのニュースで、宮崎県でオーダーメイドの車いすを作るパキスタン人の職人、ハビブ・ウル・ラハマンさんのことを知りました。ハビブさんのお兄さんが体が不自由な方で、電動車いすのことを勉強するために日本に留学され、そのまま日本で職人として活動されているそうです。

そのニュースでこんなお話がありました。ハビブさんのクライアントの中に、手足が不自由な男性がおられました。その男性は父親として子どもをおんぶして遊んであげたいという願いがありました。その願いをかなえてあげるためにハビブさんは子どもがお父さんの後ろに安全に乗れる電動車いすを作ったのです。お父さんの電動車いすの後ろにお子さんが乗って、親子で一緒に走り回っている姿を見たとき、僕は涙が止まらなくなりました。ほんの1分ほどのストーリーだったと思います。父親なら誰しもが持つ願いです。忘れられないニュースを見ました。



2023年4月21日金曜日

余部鉄橋

 僕は以前、兵庫県の北部の豊岡市にある公立豊岡病院で1年間だけ勤務していたことがあります。つい先日のNHKの「小さな旅」で、余部鉄橋が出ていて、そのときのことを思い出して懐かしくなってとても楽しく見させていただきました。当時僕が働いていたNICU(新生児集中治療室)の看護師長さんが余部の出身の方だったことを思い出したからです。

「小さな旅」の中で、1912年に余部鉄橋ができて、当初は鉄橋に駅がなかったので余部の方々は山に登って鉄橋をつたって隣に駅まで2km歩いて通学、通勤をしていたそうです。それが1959年に地元の人たちが力を合わせて、それこそ小学生たちは材料の石を運ぶなどして駅を作ったそうです。地元の人たちが力を合わせて町を発展させることは珍しいことではないかもしれませんが、このエピソードは47年間も駅がなかったことを考えると、地元の人たちの世代を超えた積年の思いが多くの人の心を動かしたのだと思います。

2023年4月14日金曜日

大阪の造幣局の通り抜けの桜


 

久しぶりに大阪の造幣局の通り抜けに行ってきました。今は予約制になっていました。ソメイヨシノに比べて背が低く、まじかに迫ってくるような色とりどりの桜。ここには全部で140種あるそうです。この写真はまるで桜の天井のようでした。自然から癒しと力をもらえることはありがたいです。

2023年4月7日金曜日

一度わかってしまえば簡単に見えることってたくさんある

最初は複雑で難しく感じることでも、 一度わかってしまえば簡単なことってたくさんあります。僕はあるコーチからゴルフを教えていただいてるのですが、何度言われてもわかったような、わかっていないような。途中でコーチがあきれているのが伝わってくるのです。コーチにとってはとても当たり前のことが、僕にとっては全然当たり前ではないのです。これは育児も同じです。大人にとって当たり前のことは、人生が始まったばかりの子どもには全然当たり前ではないのです。それを理解するまでに子供なりに悩んで、それからはじめてわかる。一度わかってしまうと簡単に見えてくる。多くの物事は一度わかってしまえば、簡単に見えるのが当たり前なのでしょう。

2023年3月31日金曜日

どんなお客さんが来るかは店主次第

僕もお客さんとしていろんなお店を訪ねます。店主の言葉が荒ければ、お客さんも言葉が荒い人が多い。店主が物静かな人であれば、お客さんも物静かな人が多い。店主が愛煙家なら、お客さんも愛煙家が多い。そのときに思うのが店主が客層を決めるということ。どんなお客さんが来るかは、店主次第です。類は友を呼ぶではないですが、仕事という公的な場でも、プライベートの私的な場でも、結局のところ店主も人ですから、その人に合った人が来ることになるのでしょう。

2023年3月24日金曜日

「努力」という言葉

 先日のNHKの「かんさい熱視線」は先日亡くなられた元南海ホークスのプロ野球選手、門田博光さんでした。

「努力は報われるって言うけど、報われないのは努力が足りないから」

門田さんの言葉だそうです。この言葉に門田さんの思いが乗っているみたいで、ジーンと来ました。今は努力を厭う時代ですが、僕は「努力」という言葉が好きです。

2023年3月17日金曜日

変わらないととわかっていても

 変わらないととわかっていても変われないのが人です。そうやって自分の気持ちでさえ、思い通りにできないのが人ではないでしょうか。それを思うと、自分以外の人の気持ちを変えようなんて、さらに容易ではないように思います。



2023年3月10日金曜日

生きていくのはそんなに悪いことじゃねえ

先日、NHKで「インタビューここから」という番組に映画監督の山田洋次さんが出演されていました。

山田さんは中学生のころに第二次世界大戦の日本の敗戦によって旧満州から山口県に引き揚げてきたそうです。それに伴いお父様は失業しており、中学生の山田さんは竹輪の行商をしていました。竹輪が売れなくてどうしていいかわからないとき、売れ残りの竹輪を買ってもらおうと、西宇部の駅前にあるおでん屋さんに入ったそうです。

「おばさん、竹輪、安くしとくから買いませんか?」

「あんた、中学生かい?」

「はい」

「どうして行商してるんだい?」

「父が失業しまして」

「全部買ってあげるから、そこに置いていきなさい。これから売れ残ったら全部持ってきなさい」

お金をもらって店を出たとき、山田さんは涙がぽろぽろこぼれたそうです。

「生きていくことはそんなに悪いことじゃねえ」

そう思ったそのときの経験が山田さんの映画監督としての人生を貫くことになったそうです。

2023年3月3日金曜日

成熟度

人に優劣はない。どこかで読んだこの言葉を信じて生きてきました。しかし、実際には僕の未熟さのせいか、視野の狭さのせいか、人には優劣があると思わざるを得ないことに出会います。でもそれが本当に優劣なのかというと、それも自分の中でピタッと来ませんでした。そのときふと思ったのが成熟度という言葉でした。一般に子どもは未熟です。でも成長していくことで、成熟してきます。10代くらいになってくるとすでに成熟している人もいれば、高齢でも成熟していない人もいます。かと言って、未熟であるから劣っていて、成熟しているから優れている、そればかりではありません。未熟であることは純粋と言えるし、成熟は擦れすぎているとも言えます。そこには優劣はない。人は成熟度のグラデーションの中のどこかにいるのではないか。そんなことを考えました。

2023年2月24日金曜日

人生は決して長くない

 先日のNHKで「消える故郷へ帰るとき」と題して、高知県の椿山という歴史ある集落が消滅集落になったところに、椿山出身の一人の男性が帰ってくるというお話がありました。実はNHKが番組として1976年にその男性のご両親を含めた家族を撮影しており、それからも約20年おきに撮影されていた映像を合わせて見せてくれていました。そこには親が子を思う気持ち、子が親を思う気持ち、故郷である椿山を愛する人々の気持ちがありとても感動しました。でも僕にはもっと心を揺さぶられる衝撃がありました。それは映像で20年ごとの人の外見の変化を連続で見せられると、人が老いていくのを目の当たりにせざるを得ません。とても当たり前のことです。でも人は昨日と今日は同じ姿だと思っています。そんなわけはありません。生物学者の福岡伸一先生が「生物学的にも人は昨日と今日では違う」という話を思い出しました。人の身体は刻一刻と変わっている。人生は決して長くない。そんな当たり前のことを確認させられました。

2023年2月17日金曜日

春になる前のほうがもっといいのかもしれない

 


先日梅の花のつぼみを見つけました。どうしてこんなにも癒されるのかはわかりません。人生と同じで、満開の春もいいですが、春になる前のほうがもっといいのかもしれません。

2023年2月10日金曜日

誰かを助けているように見えて、実は誰かに助けられているのかもしれない

歴史が好きで、最近はNHKの「映像の世紀」をよく見ます。先日は危機の中の勇気というテーマでした。

 2001年1月26日に東京の新大久保駅で起きた人身事故がありました。線路に転落した男性を助けるためにある男性が線路に降りて助けようとしました。そのとき電車が入ってきて線路にいた人全員が亡くなったのです。助けようと線路に降りたのが韓国人留学生の李秀賢(イスヒョン)さんでした。

2007年1月26日、つまり6年後の同じ日のことでした。今度は上野駅で線路から人が転落し、それを線路に降りて助けた男性がいて、そのときはみなさんの命は助かったのです。線路に降りて助けたのは山本勲さん。李秀賢さんのお母さんが書かれた本を読み、映画化されたものも見たのだそうです。それによって当時の山本さんは「行け!」という勇気を本能的にもらったと語っておられました。しかし、線路から転落した方はその後亡くなりました。

その後、山本さんは亡くなられた方の奥様からの手紙を受け取ります。そこには「主人との別れの時間が持てましたことが嬉しく深く感謝申し上げます」と書かれていました。当時の山本さんは事業で行き詰まり、生きる気力をなくしていたそうです。その手紙を受け取って、山本さんは次のように語っておられました。

一歩間違えれば、自分が逆の立場で死んでいたかもしれない。だとすれば、逆に自分が助けられたのではないか。もう少し頑張っていかなきゃいけないっていう勇気をもらいました。

人というのは、誰かを助けているように見えて、実は誰かに助けられているのかもしれません。

2023年2月3日金曜日

自分でできたほうが自由になれる

ソロで生きていくことができる人間でありたい

NHKの番組で作家の沢木耕太郎さんがおっしゃっていた言葉です。

その理由は(たとえば炊事、洗濯)何をするにしても自分でできたほうが自由になれるから。なにかひとつが自分でできるということは、ひとつ自由になれるということ。

なるほどと思いました。多くの人は自分でするよりも、代わりに誰かにしてもらうほうが自由になれると思っています。でもそれは勘違いかもしれません。

2023年1月27日金曜日

承認欲求、あっていい

 承認欲求が強い人、なんて表現をよく耳にします。でもそれがない人がこの世にいるのでしょうか。それがあるから人は生きていられるのではないでしょうか。僕は承認欲求って人が生きていく上で、苦難を乗り越える上で、目標に向けてがんばる上で不可欠なものだと思っています。

2023年1月20日金曜日

足りていないと思うとしんどくなる、満たされていると思うと楽になる、たまにそこに戻ればいい

なんでもそうだと思いますが、 足りていないと思うとしんどくなります。満たされていると思うと楽になります。でも人は常に足りないものを探したり、そこをなんとか埋めようとしてしまうものです。人はいつも賢明で、自在に自分の気持ちをコントロールできるわけではありません。それが人間だし、その過程を経るからこそ人は成長していけるのだと思います。ふとしたときに戻る考え方の一つとして、足りていないと思うとしんどくなる、満たされていると思うと楽になる、そう考えればいいのだと思います。


2023年1月13日金曜日

自分のケア

これまで体力まかせに走るばかりで、自分のケアを意識することはなかったのですが、 四十を超えてから自分の心のケア、最近になって自分の身体のケアが必要なことになんとなく気づくようになりました。それで整体の先生に通うようになりました。僕自身が気づいている以上に、一日のほとんどの時間を同じ姿勢で緊張して過ごしているようで、整体の先生がそれを一つずつほぐしてくださります。しかもその先生は治療者によくありがちな「私は専門家だから私の考えが正しい」みたいな押し付けではなく、僕の身体を触りながら、その都度身体の状態をアセスメントされます。不思議と施術を受けているとそれが伝わってくるのです。先生に緊張で固まっている筋肉をほぐしてもらうと、自然に涙が出てくるときがあります。感情的には悲しくもうれしくもないのに涙が出る。その瞬間に心まで和らぐ。既視感の強い言葉ですが、心と身体はつながっているのだと実感するときです。整体の先生は多くを語られませんが、僕にとっては施術を受けているだけでいろんなことを考えさせてくれる時間です。

2023年1月6日金曜日

改めて感謝

 ある土曜日の午後のことでした。その日は午後から用事があり、診療後急いで電車に乗りました。乗り換えの駅で降りたとき、人がいっぱいのホームでさっき診察させてもらった患者さんの後姿が目に入りました。それだけで胸がジーンとしてきました。その駅はターミナル駅な上に土曜日の午後で人があふれています。その方はそれををかき分けて帰宅されているところでした。(ほかの患者さんも含めて)患者さんはこういう中を通院してくれてるんだ。そう思いました。もちろんその日の外出の目的が通院だけでない場合もあると思いますが、それでも僕としてはありがたいです。普段、僕は患者さんの通院の道中の姿を見ることがないので気づけませんでした。今さらながらで恥ずかしいですが、改めて通院してくれている患者さんたちに感謝した日でした。