2023年3月24日金曜日

「努力」という言葉

 先日のNHKの「かんさい熱視線」は先日亡くなられた元南海ホークスのプロ野球選手、門田博光さんでした。

「努力は報われるって言うけど、報われないのは努力が足りないから」

門田さんの言葉だそうです。この言葉に門田さんの思いが乗っているみたいで、ジーンと来ました。今は努力を厭う時代ですが、僕は「努力」という言葉が好きです。

2023年3月17日金曜日

変わらないととわかっていても

 変わらないととわかっていても変われないのが人です。そうやって自分の気持ちでさえ、思い通りにできないのが人ではないでしょうか。それを思うと、自分以外の人の気持ちを変えようなんて、さらに容易ではないように思います。



2023年3月10日金曜日

生きていくのはそんなに悪いことじゃねえ

先日、NHKで「インタビューここから」という番組に映画監督の山田洋次さんが出演されていました。

山田さんは中学生のころに第二次世界大戦の日本の敗戦によって旧満州から山口県に引き揚げてきたそうです。それに伴いお父様は失業しており、中学生の山田さんは竹輪の行商をしていました。竹輪が売れなくてどうしていいかわからないとき、売れ残りの竹輪を買ってもらおうと、西宇部の駅前にあるおでん屋さんに入ったそうです。

「おばさん、竹輪、安くしとくから買いませんか?」

「あんた、中学生かい?」

「はい」

「どうして行商してるんだい?」

「父が失業しまして」

「全部買ってあげるから、そこに置いていきなさい。これから売れ残ったら全部持ってきなさい」

お金をもらって店を出たとき、山田さんは涙がぽろぽろこぼれたそうです。

「生きていくことはそんなに悪いことじゃねえ」

そう思ったそのときの経験が山田さんの映画監督としての人生を貫くことになったそうです。

2023年3月3日金曜日

成熟度

人に優劣はない。どこかで読んだこの言葉を信じて生きてきました。しかし、実際には僕の未熟さのせいか、視野の狭さのせいか、人には優劣があると思わざるを得ないことに出会います。でもそれが本当に優劣なのかというと、それも自分の中でピタッと来ませんでした。そのときふと思ったのが成熟度という言葉でした。一般に子どもは未熟です。でも成長していくことで、成熟してきます。10代くらいになってくるとすでに成熟している人もいれば、高齢でも成熟していない人もいます。かと言って、未熟であるから劣っていて、成熟しているから優れている、そればかりではありません。未熟であることは純粋と言えるし、成熟は擦れすぎているとも言えます。そこには優劣はない。人は成熟度のグラデーションの中のどこかにいるのではないか。そんなことを考えました。

2023年2月24日金曜日

人生は決して長くない

 先日のNHKで「消える故郷へ帰るとき」と題して、高知県の椿山という歴史ある集落が消滅集落になったところに、椿山出身の一人の男性が帰ってくるというお話がありました。実はNHKが番組として1976年にその男性のご両親を含めた家族を撮影しており、それからも約20年おきに撮影されていた映像を合わせて見せてくれていました。そこには親が子を思う気持ち、子が親を思う気持ち、故郷である椿山を愛する人々の気持ちがありとても感動しました。でも僕にはもっと心を揺さぶられる衝撃がありました。それは映像で20年ごとの人の外見の変化を連続で見せられると、人が老いていくのを目の当たりにせざるを得ません。とても当たり前のことです。でも人は昨日と今日は同じ姿だと思っています。そんなわけはありません。生物学者の福岡伸一先生が「生物学的にも人は昨日と今日では違う」という話を思い出しました。人の身体は刻一刻と変わっている。人生は決して長くない。そんな当たり前のことを確認させられました。

2023年2月17日金曜日

春になる前のほうがもっといいのかもしれない

 


先日梅の花のつぼみを見つけました。どうしてこんなにも癒されるのかはわかりません。人生と同じで、満開の春もいいですが、春になる前のほうがもっといいのかもしれません。

2023年2月10日金曜日

誰かを助けているように見えて、実は誰かに助けられているのかもしれない

歴史が好きで、最近はNHKの「映像の世紀」をよく見ます。先日は危機の中の勇気というテーマでした。

 2001年1月26日に東京の新大久保駅で起きた人身事故がありました。線路に転落した男性を助けるためにある男性が線路に降りて助けようとしました。そのとき電車が入ってきて線路にいた人全員が亡くなったのです。助けようと線路に降りたのが韓国人留学生の李秀賢(イスヒョン)さんでした。

2007年1月26日、つまり6年後の同じ日のことでした。今度は上野駅で線路から人が転落し、それを線路に降りて助けた男性がいて、そのときはみなさんの命は助かったのです。線路に降りて助けたのは山本勲さん。李秀賢さんのお母さんが書かれた本を読み、映画化されたものも見たのだそうです。それによって当時の山本さんは「行け!」という勇気を本能的にもらったと語っておられました。しかし、線路から転落した方はその後亡くなりました。

その後、山本さんは亡くなられた方の奥様からの手紙を受け取ります。そこには「主人との別れの時間が持てましたことが嬉しく深く感謝申し上げます」と書かれていました。当時の山本さんは事業で行き詰まり、生きる気力をなくしていたそうです。その手紙を受け取って、山本さんは次のように語っておられました。

一歩間違えれば、自分が逆の立場で死んでいたかもしれない。だとすれば、逆に自分が助けられたのではないか。もう少し頑張っていかなきゃいけないっていう勇気をもらいました。

人というのは、誰かを助けているように見えて、実は誰かに助けられているのかもしれません。

2023年2月3日金曜日

自分でできたほうが自由になれる

ソロで生きていくことができる人間でありたい

NHKの番組で作家の沢木耕太郎さんがおっしゃっていた言葉です。

その理由は(たとえば炊事、洗濯)何をするにしても自分でできたほうが自由になれるから。なにかひとつが自分でできるということは、ひとつ自由になれるということ。

なるほどと思いました。多くの人は自分でするよりも、代わりに誰かにしてもらうほうが自由になれると思っています。でもそれは勘違いかもしれません。

2023年1月27日金曜日

承認欲求、あっていい

 承認欲求が強い人、なんて表現をよく耳にします。でもそれがない人がこの世にいるのでしょうか。それがあるから人は生きていられるのではないでしょうか。僕は承認欲求って人が生きていく上で、苦難を乗り越える上で、目標に向けてがんばる上で不可欠なものだと思っています。

2023年1月20日金曜日

足りていないと思うとしんどくなる、満たされていると思うと楽になる、たまにそこに戻ればいい

なんでもそうだと思いますが、 足りていないと思うとしんどくなります。満たされていると思うと楽になります。でも人は常に足りないものを探したり、そこをなんとか埋めようとしてしまうものです。人はいつも賢明で、自在に自分の気持ちをコントロールできるわけではありません。それが人間だし、その過程を経るからこそ人は成長していけるのだと思います。ふとしたときに戻る考え方の一つとして、足りていないと思うとしんどくなる、満たされていると思うと楽になる、そう考えればいいのだと思います。


2023年1月13日金曜日

自分のケア

これまで体力まかせに走るばかりで、自分のケアを意識することはなかったのですが、 四十を超えてから自分の心のケア、最近になって自分の身体のケアが必要なことになんとなく気づくようになりました。それで整体の先生に通うようになりました。僕自身が気づいている以上に、一日のほとんどの時間を同じ姿勢で緊張して過ごしているようで、整体の先生がそれを一つずつほぐしてくださります。しかもその先生は治療者によくありがちな「私は専門家だから私の考えが正しい」みたいな押し付けではなく、僕の身体を触りながら、その都度身体の状態をアセスメントされます。不思議と施術を受けているとそれが伝わってくるのです。先生に緊張で固まっている筋肉をほぐしてもらうと、自然に涙が出てくるときがあります。感情的には悲しくもうれしくもないのに涙が出る。その瞬間に心まで和らぐ。既視感の強い言葉ですが、心と身体はつながっているのだと実感するときです。整体の先生は多くを語られませんが、僕にとっては施術を受けているだけでいろんなことを考えさせてくれる時間です。

2023年1月6日金曜日

改めて感謝

 ある土曜日の午後のことでした。その日は午後から用事があり、診療後急いで電車に乗りました。乗り換えの駅で降りたとき、人がいっぱいのホームでさっき診察させてもらった患者さんの後姿が目に入りました。それだけで胸がジーンとしてきました。その駅はターミナル駅な上に土曜日の午後で人があふれています。その方はそれををかき分けて帰宅されているところでした。(ほかの患者さんも含めて)患者さんはこういう中を通院してくれてるんだ。そう思いました。もちろんその日の外出の目的が通院だけでない場合もあると思いますが、それでも僕としてはありがたいです。普段、僕は患者さんの通院の道中の姿を見ることがないので気づけませんでした。今さらながらで恥ずかしいですが、改めて通院してくれている患者さんたちに感謝した日でした。