2022年8月26日金曜日

人は精神疾患になったときにだけ、心を患うわけではない

受診される患者さんの中には精神疾患の診断に該当しない方もおられます。その中には「診断が出ないと診てもらえませんか?」と不安な表情で尋ねられる方がいます。精神科医は精神疾患の患者を診るもの。たしかにその通りです。ただ、精神科医が心を患った人を治療することを仕事とするなら、診断がつかなくても僕はその方を治療をしたいと考えています。なぜなら、人は精神疾患になったときにだけ、心を患うわけではないからです。

2022年8月19日金曜日

自分を変えようとした人たちはみんな良くなっていった

良くなっていかれる患者さんたちの理由は様々ですが、その多くに共通点があることに気づきました。それは、患者さんが自分自身を変えようとしている場合です。手あかのついた言葉ですが、自分以外の人は変えられませんが、自分は変えることができるからです。自分自身を変えることで、その問題への見方や捉え方が変わり、良くなっていかれます。僕は自分自身を変えようと努力されている患者さんを診ると、胸が熱くなります。

2022年8月12日金曜日

人生が足りない

 今年の8月で作家の松本清張さんが亡くなって30周年だそうです。最近、それに伴って制作された特集番組を見ました。

その中で清張さんの担当編集者だった方がこんな話をされていました。晩年になった清張さんに、先生はもうお歳だから、連載の数は減らしてくださいねって声を掛けたら、「お前は私との付き合いが長いのに、何もわかっていない」と怒られたそうです。その後、清張さんは「私には書きたいものが山のようにある。人生が足りないんだ」と語ったそうです。

亡くなる直前まで筆を執り続けた作家の姿を見た気がしました。それくらい知的好奇心が掻き立てられるものがあるなんて、人としてどんなに幸せだろう。そんなことを思いました。


2022年8月5日金曜日

たくさんの人に評価されたいか。自分の意図をわかってくれる人にだけ評価されたいか

たくさんの人に評価されたいでしょうか。それとも自分の意図をわかってくれる人にだけ評価されたいでしょうか。

これは意見が分かれるところかなと思います。

たくさんの人に評価されるということは、その評価のされかたの内訳が分かれるので、自分の意図と違う形で評価されるものも含まれます。そこで、まあ評価されたしいいかって通り過ぎて、とにかく満足できる人もいます。だからSNSは成り立ちます。でも、自分の意図と違った評価のされかたは本当の意味で自分の気持ちを満たしてくれるかと言えば、疑問です。

自分の意図を汲んで理解してくれている人の存在はとびきりうれしいものです。だからなんらかの共通点を持った人たちの集まりが成り立ちます。でも、自分の意図をわかってくれる人に出会えることはそんなに多くありません。

実際のところ、自分の意図を理解してくれる人に出会えることは多くないので、その間を多少意図がずれていても評価してくれている人で満たすのかもしれない。それでいいのかもしれない。そんなことを考えてみました。