沢木耕太郎さんのエッセイに、世界は「使われなかった人生」であふれてる、というのがある。人々は有名な人のストーリーを知りたがる。無名の人が自分のストーリーを語っても人は聞いてくれない。人口全体では無名の人のほうが多く、トータルでは大きなことを成し遂げているはずなのに、である。
この春からNHKで「新プロジェクトX」が始まるらしい。プロジェクトXが放送されていたころ、僕は大学生だったように思う。ひたむきに愚直に一つのことを成し遂げようと奮闘した人たちに感動した記憶がある。大きなことを成し遂げたはずなのに、光が当てられていなかった人々に光を当ててくれるからである。
人への判断基準は昔から人格よりも有名か無名かが用いられてきた。その価値観に警鐘を鳴らしてくれる番組である。そう考えるとNHKのプロデューサーはすごいと言わざるを得ない。72時間、逆転人生、バタフライエフェクト。僕が知っているだけでも素晴らしい番組はたくさんある。こんなアイデアはどこから来るのかと感服する。いつか視聴者の目には見えないNHKのプロデューサーや番組制作スタッフの努力に光を当てる番組を作ってほしい。
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