2025年12月12日金曜日

人はみんな自分の存在に気づいてもらいたい

 人にわかってもらえなくてもいい。ただひたむきに生きればいい。そうすれば良いことがある。善行は人に知られないものを本当の善行と言う。太古の昔から似たような言葉は多い。でも僕はそうは思わない。人はみんな自分がしていることに気付いてもらいたいもの。自分の存在に気づいてもらいたいもの。これは人間社会で生きる者として当然の欲求であり、生きるためのエネルギーだ。それに気づけば、自分がほかの人にどう接するべきかが見えてくる気がする。

2025年12月5日金曜日

ランニング

 4年ぶりにランニングを再開した。20年間変わらなかったズボンのサイズが合わなくなってきたからだ。夕暮れ時に大阪城公園のイチョウの木に西日が当たって綺麗だった。そこに30歳前後の太った色白の男性が体を左右に揺らせ、息をハーハーさせながら走ってきた。無精ひげに汗がついて光っていた。僕が普段、接する引きこもりの患者さんたちのことを思い出した。この男性も引きこもりから抜け出して、健康を取り戻そうと必死なのかもしれない。そう思うと、その姿が美しく見えて、なんだか僕まで元気になった。

2025年11月28日金曜日

肯定は否定があってはじめて成り立つ

 がんばらなくていい。この言葉が世に出てきて長い時間が過ぎた。頑張り過ぎて燃え尽きた人を救う言葉だ。でもまだ頑張ったことのない子どもにまで頑張らなくていいと声を掛けるのを見かける。とても危険だと思う。子どもは素直にそれを受け入れるだろう。するとその子の人生で本当に頑張るしかないときが来たときに耐えられるだろうか。この言葉に限らない。人に肯定的な言葉をかけるのはその人を救うが、それは否定されたことがある人に対してだけ役立つのだ。肯定は否定があってはじめて成り立つ。

2025年11月21日金曜日

自分を自分で認められた人が本当の幸せをつかむ

誰かに認めてもらうために本当にしたいことと違うことをしている人がいる。そんな人を見ると、自分もそんなところがあるのではないかと心配になる。その心当たりは間違いなくある。人はみんな同じだろう。誰かに認めてもらいたい。人生の中で認めてもらえなかった経験があるから。でもそれを乗り越えて他人ではなく自分を自分で認められた人が本当の幸せをつかむのだと思う。

2025年11月14日金曜日

僕のほうが感謝したい

診察で僕が「前回からいかがでしたか?」と尋ねると、「ありがとうございます」と返してくださる人がいる。「いつもお世話になっているので」とお菓子や果物などをくださる人、何も言わず手を合わせてくれる人までおられる。そのたび、自分はそんな大したことをしたのだろうかと思う。鈍い僕にはその人たちの気持ちがどれほどなのかはわからない。それよりも僕のほうが感謝したい。その言葉一つ、その行動一つがどれほど僕を勇気づけてくれているのか。いつかそれをお伝えしたい。